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あいつはまだあそこにいるかもしれない

作者: 横屋博也
掲載日:2016/05/17

ある日、学校にオタクが来た。

痛いシャツ(ニコニコ超会議)、長い髪(男なのに)、リュックサック、分厚い眼鏡、手にはラノベを持っている。

僕は耐えられなかった。

「ど、どうしたの?なんでエロ本なんか持ってきたの?」

その頃、僕はラノベを知らなかった。

「俺はもう自分を偽るのをやめた。あと、ラノベはエロ本じゃない」

彼をAとしよう。Aが歩くとモーゼのように道が拓けた。

一緒にいた僕まで変な目で見られた。

「あのさ、恥ずかしくない?」

「何言ってんの?好きなもの好きって言えない方が恥ずかしいだろ」

その言葉は結構胸に響いた。

実はそれまで僕はアニメを好きだということすらひた隠しにしていた。

その日から、隠すのをやめた。


3年後、卒業式にて。

その頃になると僕はAのことを師匠と呼んでいた。師匠のおかげで自分らしい学校生活を送れたからだ。

しかし、事件が起きてしまった。

なんと、卒業式だというのに師匠は痛T(ボカロ)を着てきてしまったのだ。

「それはさすがにまずくない?」

「ボカロがダメなら、俺は卒業しなくていい」

少なからずかっこいいと思ったことは否定しない。

けれど、壮大なオチが待っていた。


師匠は、単位が足りていなかった。

だから、卒業出来なかった。

そもそも、好きなことしかしてこなかった師匠が、単位を取れてる訳がなかったんだ。

それでも、今でもAは僕の師匠だ。

彼は今、どうしているのだろう。

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