探検
真っ暗闇の中、本当に微かだが、虫の声が聞こえる。なにか分からない、圧倒的な力に排除されながらも、僅かに生き残った者たちの泣き声。
......眠れない。制服のYシャツがべったり肌にくっつき、気持ち悪い。
ユウはもう寝てる。丸めた備品の服を枕にグッスリ寝ているユウに近付き、彼のすぐ隣で寝る。
男なのに少しだけ香る、まるで女の子のような匂いに安心感を覚えて目を閉じた。
......今何時だろう。学校の宿題......したっけ。してねぇよな。母さんに朝ご飯呼ばれるのはまだかな。もっと寝ていたい。それにしても暑いな。床も硬い。
そういえば俺......
「おっはよー!朝ですよー!」
仁王立ちのユウがてニコニコしてる。夏休みの小学生並に朝が早いな。
「いや、まだだろ暗い。」
頑張って声を出してみる。朝露と土の匂いで、今自分がいる現実を確かめる。
扉の向こうはまだ薄暗い。一瞬自分の家に居ると錯覚してしまった。切なくなると同時に、どこかほんの少しだけ、安心してる自分が居た。
「暑くなる前に探索しなきゃ。」
ノロノロと起き上がり、白い長袖に着替える。汗臭いYシャツは腰に巻いた。
「おはよ。」
ユウを見ると、少し袖が煤けて居た。能力の練習してたんだろな、偉いな。
胸がチクっと痛む。ユウが羨ましい。自分も欲しかった。能力があったら、楽しかっただろうな。水使いって何だったんだろ。
それに、俺はユウに守って貰うんだ。年下なんかに。
......考えても意味ないだろ。年下だからとか、嫌な奴だな、俺。俺のアホアホ。
暗い表情から察したのか、ユウが申し訳なさそうに手を後ろに回す。
気を使わせてしまった事を申し訳なく思った。
二カッと笑って気を取り直す。朝のテンションが低いのは、俺の悪い癖だ。よしっ。
「いくぞ、雪川探険隊!」
快活を意識して声を出す。ユウもまた笑った。
「おー!って、キヨが隊長かい!しかもこんな暑いのに雪川ってなんか違う!」
「おっす、隊長は俺な。俺の事は清一隊長と呼びなさい。ユウ二等兵、よろしく。」
「せめて副隊長.......じゃなかった、僕は隊長がいい!」
木々を分け入りながらブツクサ言っている。
「分かったよ。ユウ隊長。俺は清一皇帝で妥協するよ。」
「探険隊の面影ないじゃん!清一帝国かっ!」
他愛の無い、くだらない会話が楽しい。なんだか気分が明るくなる。




