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psyKICKer  作者: 火矢クハチ
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引っ越し

ユウの拠点は、俺のとこから5分程離れた位置にあった。


「見晴らしが悪いな、俺のもユキの場所も。」

二人の拠点はそれぞれキャンプ地のように軽く整地されている。

そしてその周りは鬱蒼とした木々に囲まれて、テレビで見る熱帯雨林のような様相を呈している。


「一体、何処なんだろうなここ。外国なんか?」

ユウが答える。

「ん〜、少なくとも日本本土から遠く離れた場所って事は確かだと思う、やけに暑いし......今秋の筈でしょ?

多分常夏の島ってやつじゃない?」

そうか......日本遠いのか.......軽くホームシックになる。駄目、駄目だ、考えないようにしよう。


「食糧取り出しに行ってくるね!」

対して明るい顔の、ホームシックなんて微塵も感じさせないユウはなんと言うか、気丈だな、と思った。


ユウの拠点の外観は俺のと一緒だ。コンクリートの箱部屋を、灰色に雑塗りされたベニヤ板がスッポリ覆っている。

ドアは空いたままだ。

「外から閉められねぇの、不便だよな。」

知らない人が潜んでたらと思うとゾッとする。心配なので途中までユウについていった。


誰も居ないのを確認したので、

暫く外で景色を見ながら待っていると、床下に収められていた、食糧などが入ったでかい巾着袋をユウが重そうに背負って出てきた。ニッとユウが笑う。

「あ、ハッキリと言ってなかったけど、これからキヨの家にお世話になります。」

.......まぁ俺もそのつもりだし、ガキを一人にさせるつもりはねぇし。そもそも家ってなんだよ家って。

「とにかく、袋の中身は何が入ってんだ?」

ユウが急いで確認する。

「ビスケットサンドが15袋、1リットるペット2本、下着1セット、うっすーい長袖長パン、あとは......な......なんもない。」


袋から覗いているビスケットサンドの大きさから考えて、本当に10日持つか持たないかくらいか。

水がそれだけというのは近くに川があると考えていいだろうな。200日雨水に頼れとか流石に鬼畜すぎる。

他の参加者も同じ量だと考えたら、200日を生き延びるには今日1日で20人から奪わないといけないって計算になる。

流石にそれは現実的でないから、5日目に動き出すと考えて......200わる......

......チッ、数学は苦手だ......えっと............200÷5で1日に40人か。不可能だろ、1日で達成できるわけねぇ。

6日目まで延びたら?9日目にまで延びたら?取られる側がある程度食糧を確保してたとしても、相当な人数から奪わなきゃいけない筈だ。そこまで人数がいる筈が無い。

とすると何処かに食料庫みたいなのがあると考えるのが当然だ。

それとも......虫食えと?まさかね。

どちらにしろ島の全景を見て、おおよその人数と地形を把握したい。

明日は水探しと高台探しだな......


「キヨ!ぼっとして無いで朝ご飯食べるよ!早く戻ろ!お腹すいた!」

確かに腹が減った。まだ起きてからなんも喰ってなかったわ。まずは今すべき事をしないと。


「解ってるよ!荷物もってやるから待てって!」

ユウの元まで小走りで駆けて行く。

太陽が容赦なく俺の脳天をジリジリと照らしていた。



「そういえばさ、キヨ、この島何か変だなと思わない?」

何を今さら、一から十まで変に決まってんだろ!という突っ込みは心の中にしまっておこ......

「ゲホッ!んうぐ........」


急いでビスケットを口の中に入れたせいで喉を詰まらしてしまった。

部屋は蒸し暑く、とても食欲が湧く気候では無いが、昨日の晩から何も口にしてない自分にとってはパサパサの中途半端なバター味のビスケットが美味しく感じられた。

手のひら一つ分のビスケットをやっとの事で頬張ってユウを見つめる。

クスッと、ユウに笑われたので恥ずかしかった。


すぐ表情を戻し、ユウは言った。

「この島、動物が殆ど居ないんだよね。鳥を数匹見かけたぐらい。

虫も殆どいない。何かの木の実も無い。こんなに周りはジャングルなのに。」

確かに言われてみればそうだ。そして、虫が居ないと聞いてちょっとほっとする。

「多分......食べれないようにするためだろ。目的は食糧の奪い合いをさせる事だろうし、食糧も何処かにストックされてると思う。

水も、確かに雨の多そうな気候だけど川が有るはずだろ。

だからさ.......」

「探検しよう!」

ユウの目が今まで以上に、蘭々と輝いて居る。やっぱユウは少年なんだな、と思って、ちょっと笑ってしまった。

「なにわらってんの!」

ユウがはにかみながら文句を言う。ワクワクしてるのが手に取るように分かった。

「いや、本当ガキだな、わんぱく小学生みたいだぞ。」


彼は、まるで夏休みの小学生のような、何か楽しい旅行に来て居るような、そんな気持ちにさせる。

だがそれが一層、これから避けられないであろう闘いと、暗い未来を浮きだたせていた。


外に出ると言う事は誰かに遭遇するという事。それが必ずしもユウの様な子であるばかりという確証は無い。

生き残る為には、恐らく誰かを蹴落とさなきゃいけないだろう。

今の世の中は、蹴落とされる人間が上手く隠されて居る。努力してないだとか、やる気が無い、とかいう言葉の茂みによって。

それを自らの目で見て、行わなければならない。俺は、俺は___

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