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psyKICKer  作者: 火矢クハチ
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希望

「無能なんだよ......俺。何も出来ない人間なんだよ。」

ユウに言っても仕方ないのは分かってる。

でも彼なら、何でも受けとめてくれそうな気がした。

「勉強でも、部活でも。あまつさえこのサバイバルでも。笑えるだろ?」

3歳下のガキに、涙流して何言ってんだろ。

「ハハ......ハハハ......。

これからも何も出来ずに、能力ある奴らに殺されるんだ。

生きる為とか言われて、鶏とか豚みたいに、何にも思われずころっと殺されるんだ。

......正に現代社会の縮図そのものじゃないか!能力者に踏み台にされて死ぬんだよ俺は!

これまで通り滑稽に!馬鹿にされ続けて!」

声が荒ぶる。

「ユウ、どうせこれから俺生きられないからさ!どうせ違う超能力者に殺されるだけからさ、今俺を殺してくれよ!

俺の食糧全部持ってどっかに行っ......」


バシッ


音が響いた。ユウに頬を平手打ちされた事に気付くまで時間がかかった。

「痛っつ......」

ユウの顔を見ると、逆光にも関わらず怒った顔をしている事がハッキリ解った。ワナワナと震えている。

いきなりユキが胸ぐらを掴んで、俺を地面に強く押し付けた。

「キヨ......生きれないとか......死ぬとかさ......

もう既に諦めました、なんて言い方しないでよ......

殺せとか、どっかに行けとか......本当に馬鹿なんじゃ無いの......?」


ユウの手の力が緩む。何もかも突き刺すその眼は濡れていた。それでもしっかりと、俺の眼を捉えていた。


「超能力がないキヨの失望とか、不安とか、

自分はキヨじゃないから、同じように感じる事は出来ないよ?

でもうっすらとは解る。


でも、だからって、もう生きられないとか、もうダメだとか、言う必要も考える必要もないじゃん!

私もいるし!キヨも死ぬって決まった訳じゃない!


解ってる?生きる為には希望を持たなきゃいけないの、いつも生きる道を探してなきゃいけないの!

今みたいな時には特に!

じゃないとさっきの扉のランプみたいに、気付かないまま通り過ぎちゃうよ!?」


確かにな......希望もたねぇと、生きるヒント、見逃しちゃうかもしんねーよな......。


「死ぬ死ぬ言ってたら死ぬヒントしか見つからないよ?本当に死んじゃうよ?生きる道があったとしても!」


今まで俺、希望なんて持って無かったわ......心の何処かでいつもダメなんじゃないかって思ってた。

ここに来た時も例外じゃない。

幸せになるはず無いって。不幸にしかならない筈だって思ってた。


でももしかしたら......


「......絶対、一緒に生き残るから。

生きる道、一緒に探してくれる?キヨ?約束してくれる?」


何時の間にか涙は乾いていた。ゴシゴシと目を擦る。

ユウには恥ずかしいところを見せちまったな。


「......それ、プロポーズとして受け取っていいっすか?」

軽く冗談を言うと、ユキが赤面して慌てる。

「そっ、そんな意味じゃないし!真面目に言ってるんだけどッ!」

面白いな、コイツ。冗談だっつーの。

「オランダなら結婚できるぜ、なんてな。


......まぁ、あれだ。ありがとな、ユウ。

お陰で目が覚めたわ、俺。」


ホント、ありがとう。


自然と笑みが零れる。こんな気持ち、何年ぶりだろう。

これが希望ってヤツなのかな。


「約束するよ。絶対、俺たちは生き残る。

一緒に生きる道を探そうぜ、ユウ。」


ユウは笑顔で頷いた。

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