晩飯
「おいできたぞ!」
暗闇の中で静かに寄り合う。はたから見たら怪しい光景だ。
「味……どう?」
「糞マズイ。」
晩ご飯は今日もバター味のビスケットだ。少しアレンジして見て、砕いて水で丸めて見たが、元の方が良かった。
消化不良でリバースされた食物をまた胃に返してる気分だった。
ボッと火が輝く。
「キヨ~。少し焼いたら香ばしくて良い感じになったよ。」
「うぉ!マジか食わせてくれ!」
パサパサでもいい。少しでも変化した物を口に入れたい。
「すぐ人を襲いたくなっちゃうような野蛮人にあげる物はありませんー。」
ガキの癖して生意気な……!
「あぁ?!力尽くでも奪い取ってやるわ!」
我ながらガキみたいな返答だ。
そんな俺の手をサッとかわし、ニヤッとしながら言う。
「正直じゃないなぁ~。そんなんだから彼女居ないんだよ。」
なんやて!
「いんや、舐めて貰っちゃ困る。実は俺、可愛い彼女がいるし!」
ユウがまじめな顔でキョトンとする。しめた。これはいける。
「しかもな、AだけじゃなくBもCもDもXもやったことあるんだぜ。
ユウはそんな経験ねーだろ。」
見なくともユウの顔が紅くなってるのは解った。コイツは下ネタが苦手だからな。
でもまぁ......ホラ吹く度に胸が痛くなる。嘘を付いてユウを困らせるのが申し訳無いとかじゃなくて。
「まじ彼女の家に行った時とかパラダイスでさぁ。」
現実と正反対の事を言うと、自分のモテなさが際立ち虚しくなってくる。
「と言う事で明日も早いし寝るわ!」
自爆しそう、というか既に自爆しているので、逃げる。
ぜってぇ彼女つくって事実にしてやるからな。ユウ見てろ。