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〜神の領域〜  作者: 龍馬
3/3

2襲撃

随分間が空いてしまいましたが、更新しました。

 率直に言って僕は今、楽しい事ばかりじゃない。今だって二人に弁当をおごらなきゃいけないし、成績も悪くて補習だって受けなきゃならない。

 でも、生活は豊かで、争いだって無い。歴史の勉強で昔の事を習ったけど、“あれ”よりかは絶対良い。


 ――争いだって無い。僕がそう思えたのは……今日までだった。



 キーンコーンカーンコーン。昔から変わらない音色が校内を響き渡る。その音と同時に生徒達の歓喜の声が上がり、次々と同じ制服を着た生徒が教室から飛び出して来る。

 この辺りは昔と変わらないな。と、昔を生きていた訳では無いが、涼は思った。


「不思議だね。あんなに早く飛び出して……そんなに授業て嫌かな?」

 既に数人の生徒が飛び出した教室で、未だに額にゴーグルを付けている涼が、横の机で寝ている隼人に声をかけた。


「んぁ〜あ……そだな。まぁ、嫌かな」

 隼人はまだ眠そうに欠伸をし、そっけなく答える。そしてあの不快な笑い声を上げながら喋り出した。


「て言うより、俺から見れば全教科苦手な癖に、嫌いな教科が一つも無いお前の方が不思議だよ。ヒャハハ、まぁそこがお前の良いところかもな」

「でも、隼人は勉強出来るのに授業嫌いそうだね」


 ピアスや指輪等のアクセサリーを付けたチャラチャラとした格好で制服をだらしなく着ている隼人は一見落ちこぼれだが、顔は整っているし、勉強もスポーツも出来るいわゆる天才君だ。

 しかし決してエリート面をせず、相手を皮肉ったり茶化したりするのは好きだが、思慮深い隼人に涼は何処かで尊敬の意を持っている。


「まぁ、かったるいからな……家でも出来るような事をわざわざ効率の落ちるやり方で強制されるんだから」

 気だるそうにそう言い、隼人は鞄を持ち立ち上がった。

「とりあえず授業は終わりだ。ゲーセンでも行こうぜ」


「お金無いって言ってるじゃない……バイトもクビになっちゃったし、今日は新しいバイト探すから忙しいんだ」


「ヒャハハ、そうだったな。じゃあ……」

 隼人は目線を横に移す。その先には


 未だに机に備わっているパソコンに、ブラックボードに映っている文字を写しとっている流の姿があった。


 流は勉強が出来ない。何事にも一生懸命なのだが、なかなか努力が実らないタイプなのだ。しかし流には特技がある。野球だ、野球をやらせればこの学校で流に敵うものはいない。


「あいつも無理か。ヒャハハ、馬鹿ばっかだなぁ俺の周りは」

「悪かったね」


 涼は全く悪びれていない謝罪をする。まぁ、悪い事をしたわけでは無いのだから当然だが……


「じゃあ帰えるわ」


 ゾロゾロと他の生徒達が帰る中に、隼人も混じる。



―――――

 隼人が教室を出てから十分程達、教室には数人の生徒と涼と流しかいなくなっていた。

「やっと終わった!」

「じゃあ僕らも」


 やっと流が作業を終了したので二人も帰ろうとした、その時


 学校にドォーンという爆音、そして悲鳴、最後にドタドタドタという足音が鳴り響く。

「手を挙げろぉ!」

 直後、教室の扉が爆発で吹き飛び外から武装をした男達が乱入してくるなりいきなり叫んだ。

 スクールジャックだ。

 涼も流もいきなりの事に困惑しながらも、言われた通りとりあえず手を頭上に挙げ膝を付き地面に伏せた。


「いいか、大人しくしていれば命は取らない。だが一人でも抵抗すれば……この場にいる全員を殺す!」

 武装した男の一人、顔はマスクで見えないが服の上からでも分かる長身で体格のいい男が叫び、教室にいる全員を恐怖に陥れる。

 教室にいる生徒達は恐怖のあまり声が出ず、足腰が震え力が入らずその場に倒れ込んでいる。




 あぁ……なんだろう。これ……僕は昔からよく学校に敵が攻めて来てクラスメートが何人か殺されて残りは僕と好きな子だけになって何故か僕“だけ”強くて敵をやっつけて好きな子は僕に恋をする。

 て妄想をしてる痛い少年だ。現在進行系で今でもつまらない講義の時や暇な時はこんな妄想をしている。

 で、今……僕がいつもしている妄想と同じ展開じゃないか、好きな子はいないけど、コイツらをやっつけてヒーローになってやる!!


 涼は頭の中で必死に考え、体を動かそうとした、しかし、震えが止まらず動く事が出来ない。


「あぁ、情けないな僕」

「なにか言ったか!」

 男達の一人が涼の独り言に気付き銃を向け叫んだ。

 男が向けた銃は、ハンドガンのようで小さく強襲には不向きな物だが、何故か銃口が三つあり、そして非常に三つともの銃口が小さい。


「い、いぇ何も……」

 銃を向けられ歯がガチガチ震えながら涼は答えた。


「そろそろ始まるな」

 一人の男が呟いた。

「お前達ガキ共にも見せてやるか」

 意味深にそう言うと、教室に備えられたブラックボードの横にあるボタンを慣れた手付きで操作する。するとブラックボードはテレビへと変貌した。


「まぁ、ありがちな手段だが分かり易いだろう」

 男達以外はその言葉の意味はまだ分からない。


「そろそろだ……」

 マスク越しに相手の笑みが見える。男達が付けたテレビからはこの時間にやっている連続ドラマが流れている。と、ここでいきなりデジタル放送の番組にノイズが走り、先程までやっていたドラマとは全く別の映像が写し出された。


 テレビに写ったのは少々小柄な兵士と、それとは対照的に大柄な男だった。




 コイツラのせいでこれから僕は……いや僕達は先の見えない道を止まる事なくつっぱしらなきゃならなくなったんだ。チクショウめ……でもチョットだけ良い思いも出来ちゃったり……

感想、意見、質問お待ちしております。

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