日本へ
「これはドラマではありませんッ、今実際に起こっていることです。とっ東京湾岸地域に謎の軍隊が出没、無差別攻撃を開始した模様。これにともなって政府は国家緊急事態法の適用により交戦を開始しました。」
ちょうど俺は、商店街にLED電球を買いに出かけていた。
ここは都心からだいぶ離れた田舎町。
ん、何だこの騒ぎは、街中の人がなんだか様子がおかしい。
しばらく歩くと電気屋の前に人が集まっていた。
「オイオイオイオイ、マジかよ、とうとう、にっ日本も終わりなのか」
なに?今なんて言ったんだ日本が終わるだと?
透かさず俺は、人をかき分け、なんとかテレビの前に出ることができた。
すると、画面いっぱいに広がる戦車や軍隊。
しばらくボーとしていると、あたり一面に鳴り響くサイレン。
「緊急事態発生、国家緊急事態法により安全処置が行われました。当地域の住人は速やかに帰宅してください。」
しばらくシーンと静まり帰ったかと思うと、悲鳴が。
「キャー、この街にもくっくるああああああああああお終いだぁぁぁ」
これを機に荒れ狂う人が次第に増えてゆく。
なっなんだよ、俺の人生まだまだこれからだっちゅーのによぉ~。最悪だ。
あ、マズイ、今日は幼稚園が休みだった。友里が家にいるんだ。
おまけに真由美今日出張だったんだ~。
「皆さん、慌てずに、ほらそこの君、落ち着きなさい」
警察のお出ましだ。
俺は、急いで家へ向かった。
そういえば半年前妙な事があったな・・・
「早く、ゆ~り、起きなさい、あなたもよ、ほら」
明るくしっかりものの妻、真由美は日律編集社に働く記者だ。
「ああ、ゴメン」
「また、仕事遅くまでしてたのね、最近多いわよ」
「そっそうかな」
俺は、雪宮,グローバルセキュリティ社に働くエンジニアだ。
俺は、支度をしていると、ふとテレビに目が行った。
いつも見ているニュース番組、その時、急に画面が砂嵐に変わった。
「日本政府諸君。こんにちは」
なっなんだこれはッ。
画面は砂嵐のままで音声だけが聞こえる。
「我々は、我々の夢の実現のためEU加盟国を侵略した」
「ここに、我々の我々による夢の為に建国宣言をする」
「我々は現在、ロシア政府と宣戦布告宣言をした」
「そしってしじっつ・・」
徐々に声が遠くなってゆくそしていつものニュースキャスターがいるニュース画面に戻った。
「只今の放送は、電波ジャックによる放送だと思われます。現在、詳しい調査をしていますので分かり次第お伝えいたします」
「なっ何なの今のは」
「サッさあ、俺にも分からん」
「すなあらしのオバケだよ」
「ハッハッハ、そうだな、お前は可愛いやつだな」
「あっもうこんな時間か、行ってくるわ」
「行ってらっしゃい」
「いってらっしゃ~い」
俺は自転車に乗って30分ほどでつくグローバルセキュリティ社にいった。
「おはよう御座います」
エントランスに経つといつもの女性が笑顔で挨拶した。
「お、おはよう」
俺の仕事場は12階にあるインターネットセキュリティ部だ。
ちなみにこのビルは全部で30階ある。
エレベーターから降り、持ち場につくと、早速来た。
「あっ来たきた、雪宮、テレビ、見た?」
人懐っこく聞いてきたのは、俺の同僚の篤志。
「あれ、何だったの?」
「俺に聞くなよ、分かるわけないよ」
「そうだよな、ゴメンゴメン」
そうだッあれだ、あの奇妙な電波ジャックだ、もしかしたら連中が来たのか?
そんなことはどうでもいい、早く家に帰らなければ。
「おーい、友里~今帰ったぞ~」
「パパ~」
いきよいよく抱きついてきた。
「ハッハッハ、大丈夫か?」
「あなた、心配したのよ、電話も繋がらなくて」
「あれ、真由美、帰ってたのか」
「ええ、忘れ物しちゃって取りに来たらこの有様よ、もう出張なんて行ってられないわよ」
「そうだな、とにかくみんな無事でよかった」
よかったみんな無事で本当に・・・
しかし、まだこれは始まりに過ぎなかったのだ。
「依然としてこの謎の軍隊は勢力を拡大しつつあり、このままでは東京が侵略されてしまうおそれがあるとのことです。政府は直ちに中枢機関を郊外へ移すと共に近隣諸国へ協力願いを発行しました。」
街中に行き交う戦闘車両、輸送車両そして戦闘機、乗っている兵士はかなり緊張しているようだ。
「一体どうなっちゃうのかしら」
「こわいよ~ママ、パパ~」
「大丈夫、大丈夫、ほら、兵隊さんがこんなにいるんだ、大丈夫だよ」
「うん」
なんとか落ち着かせることはできた。
これからどうしようか、そしてどうなるのだろうか・・・・
続く。