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6話 放課後

月曜日の放課後、教室では部活に行く人、友達とおしゃべりをしている人が残っていた。

そんな中、帰宅部の俺はさっさと帰宅の準備をしていた。

筆記用具、教科書をかばんに入れ、かばんのファスナーを閉じた。


「晃、また明日な!」

「おー、祐樹、気を付けて帰れよ!」

「途中変なとこに行くなよ!」と前田晃が笑いながら言ってきた。

「変なとこってどこや?」と俺が返す。

「〇ホとか・・・」

「相手もいないのに行くかっ!」

「はは!」と晃が笑う。

「お互い彼女見つけないとな!」

「じゃあな!」

「あー、じゃあな」


挨拶を交わして、教室を出た。

教室を出た俺は、かばんを持って廊下を歩いていた。

今でも2週間前のあの『HIKARI』ってこの曲が頭から離れない。

知らないうちに口ずさんでいる自分がいる。

「るるるーる、るる」

[希望の一歩]のサビだけのメロディー

「それしか覚えていないや」

「でもとても良い」

俺は何度も何度も同じフレーズを繰り返し口ずさんでいる。


その時、1人の女の子とすれ違った。

その女の子は急に立ち止って「えっ!」と発した。

あまりにも大きな声だったので、俺も驚いて立ち止った。

その子は目を丸くして俺を見ている。

俺もその子と目が合った。

「あっ!びっくりした。」

「急に大声出してすみません」

その子は頭を下げて謝ってきた。

その子の顔を見て、昼休みの会話を思い出していた。

「えーっと、生徒会の根元さん?」俺が尋ねる。

「あっ!はい!なぜ私の名前を知っているのですか?」と根元さんが答えた。

「あー、友達が知っていて、頭の良い生徒会の人だって教えてくれたからです。」

「お昼休みにすれ違った時に、その様な話になって!」

「そうなんですね。でも頭が良いって言うのは違うかな?」根元さんは顔を赤くし返してきた。

「えーっと!お名前は?」

「相沢と言います。相沢祐樹!隣のクラスです。」

「そうなんですね、初めまして」


根元さんは続けて、「ところで今口ずさんでいた曲は?」

「あー!ちょっと良い曲だなって思って」って俺は答えた。

「どこで知ったのですか?」更に根元さんは聞いてくる?

俺はどうしたんだろうと思いながら、「この前、秋葉原のライブハウスで!」って答えた。

「そうなんですね」

その女の子は「大変失礼しました」って言ってその場から走って去って行った。

俺は「何だったんだ?」と思いながらその女の子と逆方向に歩き下駄箱に向かった。

下駄箱で下履きに履き替え、駐輪場に向かう。

「根元さん、生徒会役員だったよなぁ?生徒会室に行く途中だったのかな?」

「でも、急に声を掛けてくるなんて、本当になんだったんだろう?」

その後、自転車に乗りながらさっきの光景を思い出していた。

「でも根元さん、近くで見ると本当にかわいいなぁ」と思った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――


星はその場から逃げる様に離れた。

小走りで振り向きもしないまま、階段横のスペースに立ち止った。

「はぁ~びっくりした」

「あの口ずさんでいた曲って、私の曲[希望の一歩]だよねぇ?」

「私の曲を知っている人がいる・・・。ライブハウスで?」

「まさか来ていたの?さっきの人?」

頭の中で、先ほどの会話が繰り返し出てくる。

心臓がどきどきして爆発しそう。

「どうしよう?、バレてるのかな?」

星は大きく深呼吸をした。

「でも私が『HIKARI』って気づいていない感じだったよね」

秋葉原のライブでは、化粧をして髪もビックで茶系のロングにして、大人の雰囲気を出していた。

そのため、今のすっぴんでショートで黒髪の星とは似ても似つかない。

「あの男の子、何なんだろう?」

「1年生の時でもあまり見かけなかったし」

星と祐樹は朝の登校時間も違うし、帰りの時間も違う。

ましてやクラスも違うから1年生の時は出会うことがなかった。

もしかしてすれ違っていたかも知れないが、他の生徒もいる中でピンポイントで印象が残ることはない。

星の心臓はまだバクバクしている。

「心配だなぁ・・・・どうしようぅ」

星は深いため息をついた。

「でも大丈夫だよね」って自分に言い聞かせ、再び歩き出し生徒会室に向かった。

ドアを開け「こんにちは!お疲れ様です。」と言い中に入る。

「根元さん、お疲れ様です。」

生徒会室に入るといつものメンバーに出迎えられた。

「今日は坂口さんは?」とメンバーが星に尋ねる。

「早苗は今日は家の用事で会合はお休みするって言っていました。」

「そうなんだね。了解です。」とメンバーが答える。


しばらく雑談をしていたが、その後会合が始まった。

星は会合が始まると、先ほどの出来事はすっかり忘れていた。

いつもの笑顔の星に戻り、議題についてみんなで話し合っている。


時間は18時10分

「今日はこれくらいにしましょう」と会長が言うと「やっと終わったぁ!」とメンバーが椅子にもたれる。」

みんなが雑談をする中、星は筆記用具をかばんに入れていた。

「ちょっと用事があるので、私はこれで帰りますね」と星はかばんを持って立ち上がった。

「根元さん、お疲れさまでした。また明日ね」

「お疲れ様でした」と星は生徒会室から出た。

学校を出てバス停に向かう途中、星は疲れていた。

「今日はいろんなことがあった。でも放課後のあの男の子が気になるなぁ」

「相沢さんって言ったっけ?」

その後、スマホを取り出し自分のYouTubeを開いた。

アカウント名は『HIKARI』

この前のライブと同時に自分の曲をYouTubeにUPしていたのである。

「再生回数は?」

「28回!」

「昨日から変わってない」

「アカウント登録者数、2人」

「自分と、もの好きな人が1名。無名のYou Tuberが曲を出してもそんなもの?」

「何かきっかけがないとわざわざ見に来ないし、聞きに来ないよねぇ」

そう思いながら来たバスに乗り込んだ。


星は途中いつもの様にショッピングセンターに立ち寄り買い物をしていた。

夕方のショッピングセンターは主婦の人、子供ずれのお母さん、若いOLの女の人、いろいろな人が買い物をしている。

中にはカップルで買い物をしている人がいる。

星はそれを見つめながら「私もいつかあんな素敵な彼氏が出来るのかな?」

星は今まで異性と付き合ったことが無い。

と言うより本当に好きになった人はいなかったのが理由もある。

告白されたことは何度かあるけど、何かしっくりくる人でなかったので、全員断っている。

「まぁそれより今はアイドルになること!それだけを考えよう!」

そう言うと、いつもの様にお惣菜を買ってアパートに帰ることにした。


読んで頂き、ありがとうございます。

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