64話 プロダクション契約(2カ月前)
デビューを決断した2日後、星は群馬にある芸能プロダクション[スターライン・プロダクション]の事務所ビルの前にいた。
3階建てのビルの2階が事務所と言うことで、エレベータで2階へ上がった。
エレベータのドアが開くと目の前にガラス張りのドアがあって、ドアの横には[スターライン・プロダクション]と書かれていた。
ドアを開け中に入ると、数人のアーティストのポスターが貼られていた。
受付のカウンターには誰もいなかったので、カウンターにあるベルを鳴らす。
[チン、チーン]
「はーい、少しお待ちください!」と奥から声がした。
直ぐに女の方が奥の扉から出てきた。
「はい!お待たせしました」
「すみません、HIKARIです。」
「あー、あなたがHIKARI様。お待ちしておりました。」
「こちらへどうぞ!」と星を事務所の中に案内した。
「社長!HIKARI様が来られました。」
「わかった!今行く」
事務所の奥から若いスーツ姿の男性が現れた。
確かに見たような記憶のある顔の男性
「HIKARIさん、ようこそ!社長の岩永です」
「今日はよろしくお願いします。」と名刺を差し出した。
それを受け取り「こちらこそよろしくお願いします。」と返した。
「何か初めて見た時からイメージ変わりましたね」
「あーこっちが本来の姿で、あの時は学校にバレるのが嫌でちょっと変えていました。」
「そうなんですね」
そう言うと社長は会議室に星を案内した。
「この度はご愁傷さまでした。」
社長はそう言うと初めに頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「正直言うと、ちょっと肩の荷が下りた感じがします。」
「そうですか」
「でも大変だったと思います。」
「そうですね」
そう話していると先ほどの女の人がお茶を持ってきた。
「紹介します。事務所の受付兼、私の秘書です。」
「初めまして二宮美香です。」
「この前の電話で・・」
「そうです。」
「HIKARIです。こちらこそよろしくお願いします。」
そう言うとその女の人がかばんからいくつかの書類を出してテーブルに並べた。
そして続けて、事務所のパンフレットを広げは話始めた。
「御覧の通り、小さい事務所ですがアーティストは今では20名ほど所属しています。」
「社員は臨時社員含めて、約30名です。」
「まあ、この事務所にはいつも数名しかいませんが・・・」
「皆さん、仕事先で頑張っています。」
「そうなんですね」
「HIKARI様は我が社のトップスターとして活躍を期待しています。」
「そんなぁ。私がそこまでなれるかどうか?」
「間違いないです。HIKARI様の人気は今でも健在です。」
「ありがとうございます。」
「でも無理なことははっきりと言って下さい。」
「無理して、身体を壊す芸能人はたくさんいます。」
「弊社ではその辺は十分にケアさせて頂きますので、無理な仕事は入れません。」
「それを聞いて安心しました。」
社長が続けて
「うちはね、本当に社員やアーティストを家族みたいと思っています。」
「もちろん小さい事務所と少人数でやっているのでそれが出来るのだと思いますが、そこはこれからも守っていきたいんです。」
「素晴らしいと思います。」
「そう言ってもらえると嬉しいです。」
「もし契約して頂けるのなら、今後のスケジュールなどを決めさせて頂きたいと思います。」
「是非お願いします。」
「良かったぁ」と社長がガッツポーズした。
「正直に言うとHIKARIさんの曲を始めて聞いたときに本当にファンになりました。」
「いつかこの人と一緒に仕事が出来たら良いのにって思っていました。」
「それが実現できるとは!」
「ありがとうございます。」
「ではまずこちらの契約書を確認して頂き、良ければ署名と捺印をお願いします。」
星は十分に契約書の中身に目を通した。
「大丈夫です。」
そう言うと名前と住所、電話番号を記入し、押印を済ました。
「根元・・・ほしさん?」
「あかりです。」
「ねもと、あかりさんですね」
「良い名前です。」
「芸名はHIKARIでよろしいですよね」
「はい、それでお願いします。」
書類を書き終えると、秘書の二宮さんが電話を掛けた。
直ぐに20代前半の人が入ってきた。
「紹介しますね。」
「今後HIKARI様のマネージャーとなります新道さんです。」
「彼女は大手プロダクションに所属されていたのですが、HIKARI様のマネージャーをしたいと弊社に来られました。」
「えっそうなんですか?」
「はい、新道さやかです。」
「私はHIKARIさんの曲を始めて聞いて虜になりました。」
「いつかHIKARIさんのマネージャーになりたくて、裏から情報を聞き出し、今に至ります。」
「えーすごい」
「よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「では今後のことを少し相談しましょう!」
「はい!」
星はこの事務所に決めて本当に良かったと思った。
読んで頂き、ありがとうございます。
面白いと思って頂いたら、評価、ブックマークの登録をお願いします。




