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ゲーム配信者とアイドルの恋  作者: りんぴろ
第2章 アイドルへの階段
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63話 お父さんのお葬式[2ヶ月前]

2ヵ月前の2月中旬、星のお父さんはお母さんと星に見守られながら病院で息を引き取った。

前日に体調が急変し、そのまま夜明けとともに戻らなくなった。 

星と星のお母さんは今度体調が急変したらもう駄目だと言われていたので覚悟はしていた。

看護師の女の人がお父さんに付けられていた器具を外すのを2人はじっと見ていた。

主治医の先生から、「お父さん長い間頑張りましたね。」と言葉を掛けられた。

「お父さん、お父さん」

「あなた、今までよく頑張ったね」

「今まで2人を幸せにしてくれてありがとう」

「本当に優しい顔をしたままだね」

「うん」

「きっと天国でこれからの2人を見守っているよ」

2人は涙を流しながら、苦しみもなく静かに息を引き取ったお父さんの顔を見ていた。

その後、お母さんは会社への連絡と病院関係の手続き、お葬式の準備などするために一旦病室を離れ、星は1人お父さんが看護師の人に綺麗にされていくのをじっと見守っていた。


お父さんのお葬式は2日後に行われた。

会社関係や親戚も一部の人だけに連絡し、小さなホールでお葬式を行うことにしていた。

星は学校には連絡したが、仲のよい友達もいなかったため、早苗にだけにお葬式の日を連絡していた。

告別式会場のロビーの椅子に座っている星に一人の女の子が近づいてきた。

「星・・・」

星が振り向くとそこには早苗の姿があった。

「早苗、来てくれたんだね。ありがとう!」

「うん」

「大丈夫?ずいぶん瘦せたみたいだけど・・・」

「大丈夫!」

「そうだ、お母さん、前に言っていた親友の早苗」

星はお母さんに早苗を紹介した。

「はじめまして、坂口早苗言います。」

「この度はお悔やみ申し上げます。」

「わざわざ群馬までありがとうございます。」

「それと、星と仲良くして頂いてありがとうございました。」

「こちらこそ、星には何度も助けてもらっていました。」


「お母さん、向こうで早苗と話しても良い?」

「うん、少しなら良いよ」

「ありがとう」

そう言うと星と早苗は、葬儀場のロビー横の休憩室に入った。

「早苗・・」

2人になるとお粒の涙か出てきた。

「お父さん、亡くなっちゃったぁ」

早苗が星を抱きしめる。

「星・・・」

「ありがとう、早苗の顔見たら涙が出てきちゃったよ」

「我慢してたんだね」

「大変だったね」

「本当に苦しかった。でも最後のお父さんの顔を見たら全部やって来て良かったって思った。」

「頑張ったんだね」

「早苗ぇ」

星はしばらく早苗に抱きしめながら泣いていた。

「ありがとう、早苗」

「もう大丈夫?」

「うん」

「本当に来てくれてありがとう」

「そうだ!祐樹には言っていないよね」

「言うかどうか迷ったんだけどね。言っていないよ」

「ありがとう」

「祐樹とはお父さんのことで私が一方的に連絡できなくなってしまって・・・。」

「本当に合わす顔もなくて」

「多分もうあきれらてたんだと思う」

「それに今は多分何も話せないと思うだぁ」

「祐樹君、優しいから大丈夫と思うけど・・。」

「私ね、祐樹のことは1日も忘れたことがないんだよ」

「でも本当に申し訳なくて・・・。」

「そっかぁ」

「でも落ち着いたら、自分で連絡するから」

「うん」


会場のアナウンスがなる。

「根元家の方は準備が出来ましたので、ホールにお入りください。」

「あっ行かないと!」

「今日はありがとう!」

2人はもう一度抱き合った。

その後、星は式場ホールに向かった。

早苗の目にも涙溢れていた。


告別式が終わり火葬場での骨拾いなどから帰って来た時はもう夕方になっていた。

親戚関係も帰られて、家に星とお母さんだけになった。

「あ母さん、今日はお疲れ様でした」

「星もね」

星が家を見渡した。

「なんかこの時間にお母さんと一緒に家にいるのが不思議な感じがするね」

「ここ数カ月はずっと病院だったからね」

「うん」

「お父さん、ずっと病院で家にいなかったけど、あらためていないと凄く寂しい」

「そうだね」

2人はお父さんの写真をながめた。

「お父さんね、星とアリス人材派遣会社に行った時、その次の日かな?」

「お母さんとお父さんが星のところに泊まって次の日に帰った日」

「あの時、新幹線で父さんね、星がデビューしたら会社の人に自慢するんだぁって言ってたの」

「えっ!そうなの?」

「その後もね、いつデビューするんだろう?ってずっと言っていたんだよ」

「よほど星のアイドルにあるかもってことがうれしかったんだと思う」

「でもその後病気になっちゃったから」

「でもCMが流れた時は、本当に喜んでたよ」

「そうなんだぁ・・・」

「お父さんがそんなこと言ってたんだね」

2人はしばらく写真を眺めていた。


「星」

「もしまだアイドルになる夢を諦めていないのならもう一度考えてみてはどう?」

「きっとお父さんも天国で応援してくれると思うから・・・。」

「でも、私はもう諦めたから・・・。」

「この半年、星は自分のこと何も出来なかったと思うの」

「やっとなじめた学校を転校して、友達や彼氏と離れ離れになって、本当に辛かったと思う」

「これからは自分の好きなことに頑張ってほしい」

「もし東京の学校に戻りたいと思うのならそれでも良いし」

「お母さん、ありがとう・・・。」

「少し考えるね」

「うん」


星は自分の部屋で先ほどのお母さんの言葉を思い出していた。

「お父さん、そんなに喜んでたんだぁ」

「でも今からアイドルなんて出来るのかな?」

「祐樹に会いたい・・・。」

「でも会える資格は私にはないと思う」

「東京の学校に戻るのも、みんなに顔向けできないよ・・。」

「どんな顔して戻ったらよいの?」

「半年以上会ってないのに・・・」

星は自己嫌悪に陥っていた。

「それなら、過去を全て捨ててこれから新しい人生を歩むのも良いのかも?」

「お父さん、応援してくれるかな?」

星はそう考えながらその日は眠りについた。


翌朝、星は前に電話があった群馬の芸能プロダクションのメールを見ていた。

そして、そこに掛かれている電話番号に電話を掛けた。

すると直ぐに掛かった。

「お電話ありがとうございます。スターライン・プロダクション二宮です。」

「もしもし、私根元星と言いますが、岩永様おられますでしょうか?」

「根元様ですね。社長は今打ち合わせ中でございます。」

「何かありましたらことづけさせて頂きますが、如何でしょうか?」

「でしたら、HIKARIから電話があったとだけ伝えて下さい。」

「HIKARI様ですか?」

「えっ!もしかしてアリス人材派遣CM曲のHIKARI様ですか?」

「はい、そうです」

「少しお待ちください」

そう言うと電話は「少しお待ちください」のアナウンスが繰り返し流れていた。

1分くらいで、応答があった。

「HIKARI様?岩永です。」

「お電話ありがとうございます。」

「はい、打ち合わせ中ではなかったですか?」

「いえ、こちらの方が大事ですので・・・。」

「ありがとうございます。」

「あのぉ、もし今からでもデビューをさせて下さいと言ったら出来ますでしょうか?」

「えっ!もちろん大丈夫ですが・・・お父様は・・・」

「父は先日亡くなりました。」

「そうでしたか?それは大変でしたね。お悔み申し上げます。」

「ありがとうございます。」

「父が私のデビューを心待ちにしていたみたいなので、頑張ってみようかと思いまして」

「そうなんですね、ぜひ我が社がすべて引く受けます。」

「でも弊社に任せて頂きたいのですが、HIKARI様には東京の有名プロダクションからのお誘いもあったと聞きました。」

「なぜ弊社に・・・。」

「それは、この父のいた場所からデビューしたいと思いまして・・。」

「そうなんですね。でしたら一度会ってお話をさせて下さい。」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

「では場所と時間はどうしましょうか?」

「私はいつでも大丈夫なのでお任せします。」

「では明後日の10時くらいからで如何でしょうか?」

「大丈夫です。」

「場所は後程連絡させて頂きます。」

「ありがとうございます。」

「大変うれしいです。会えるのを楽しみにしています。」

「私も楽しみにしています。」

「では失礼します。」

星は電話を切った。


そのまま母親のところに行き、

「お母さん、私やっぱりデビューする」

「お父さん天国での喜ぶ顔が見たいから・・・。」

「うん、頑張ってね」

「あとね、携帯電話変えても良い?」

「それは良いけど、どうしたの?」

「新しい自分としてデビューしたいから、過去の友達とか一回リセットしたいの」

「星が良いのなら良いけど」

「ありがとう」

「電話はお父さんが使ってたのをそのまま使わせて」

「うん、それの方がお父さんも喜ぶね」

「ありがとう、お母さん」


読んで頂き、ありがとうございます。

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