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ゲーム配信者とアイドルの恋  作者: りんぴろ
第2章 アイドルへの階段
56/60

54話 お父さんの病気

次の日の朝早く星は東京駅にいた。

時間は6時15分、小さめのバックを持って上越新幹線の発車ホームにいた。

自分の気持ちを落ち着かせながらスマホを握り締めていた。

いつお母さんから連絡が来るかわからないからスマホを離せないでいた。

6時30分発の新幹線に乗り込み、自分の席に座る。

その後、お母さんにメールを入れた。

[今新幹線に乗った]

しばらくすると返信が来た。

[熊谷駅からタクシーで来た方が早いからそうして]と言う内容だった。

[えっ高崎駅まで行ったらダメなの?]

[熊谷駅の方が早いから]

[わかった]

そう言うと新幹線の乗務員に説明し、行き先を熊谷駅に変更してもらった。

駅に着くと改札を抜け駅の外に出る。

看板を頼りにタクシー乗り場を探した。

「あった!」

ちょうどタクシーがドアを開けて空車状態だった。

星は直ぐに乗り込んだ。

「群馬県立がんセンターまでお願いします。」

「わかりました。少し時間が掛かりますよ。」

「大丈夫です。」

「費用はどれくらいになりますでしょうか?」

「混み具合にもよりますが、だいたい7000円位です。」

「大丈夫です。お願いします。」

星は財布にお金があるのを確認した。

約40分くらいで病院に着いた。

「6700円になります。」

「お願いします。」と言って1万円札を渡した。

「3300円のお釣りです。」

お釣りを受け取ると「ありがとうございました。」と言ってタクシーから出た。

タクシーから降りるとそのまま病院の中に入る。

「えっと、病室は?」

あらためてお母さんからのメールを確認する。

「805号室」

その後、総合受付に向かい「すみません。病室の805号室に行きたいのですが」

「805号室ですね」

「そこを右に曲がったエレベーターで8階まで行くと、目の前にナースステーションがあるのでそこで確認して下さい。」

「ありがとうございます。」


そう言うと星はエレベーターに向かった。

エレベータが降りてくるのを待っていると、点滴をした男の子とお母さんがエレベータ前に来た。

エレベータの扉が開いたので先に星が乗り込む。

その後開くボタンを押して、「何階ですか?」と尋ねた。

「あっ6階です。」

星は6階と8階のボタンを押した。

「男の子からありがとう。お見舞いですか?」

「はい、お父さんが倒れて入院したので」

「そうなんですね、大変でしたね」と男の子のお母さんが返す。

「この子も入院してもう3カ月になります。」

「そうなんですね」

「でも僕、病院楽しいよ」

「看護師さんも優しいし、お友達も出来たから」

「そうだね」

そう言う会話をしていると6階に着いて、扉が開く。

「お姉ちゃん、またね、バイバイ」

そう言うとその男の子が手を振ってきた。

星も「バイバイ」と手を振り返した。


8階に着きエレベータの扉が開くと前にナースセンターが見えた。

「あのぉ、すみません」

「はい」看護師さんが答える。

「根元隆の家族の者ですが・・・」

「根元さんですね。そこを右に曲がって3つ目の病室、805号室の個室になります。」

「ありがとうございます。」

星は病室に向かった。

扉を開けて中に入ると、ベットで寝ているお父さんと横の椅子に座っているお母さんがいた。

「お母さん」

「星、急に呼び出してごめんね」

「大丈夫、お父さんは?」

「今眠っている。」

「本当にびっくりしたよ」

「私もそう」

「お父さん、かなり無理していたみたい」

「体調悪くても平気な顔をしていて、いつも通り振舞ってて」

「でもかなり悪かったみたい」

星は眠っているお父さんを顔を見つめ、点滴に繋がれた手をさすった。

「お父さん、ひとりで頑張ってたんだね」

星はさすっていた手に顔をうずめた。


お母さんが立ち上がり、「星、ちょっと休憩室に行こう」

「うん」

2人は病室から出て、休憩室に向かいそこの椅子に腰かけた。

「ステージ4って」

「そうなの」

「ステージ4って治るの?」

「主治医の先生からは、もって半年って言われたの」

「そんなぁ」

「肝臓から他にも転移していて、手術しても完全には切除できないって」

「お父さんが・・・」

「そんなぁ・・」

星が涙を流した。


「星、ちょっと相談があるんだけど・・・」

「星にとっては辛い相談なんだけど、聞いてくれる?」

「えっ」

「小さい頃から転校ばかりで辛い思いをさせて、やっと落ち着いて友達や彼氏も出来たのになんだけど」

「お父さんと3人で群馬で生活しない?」

「お父さんいつどうなるかわからないから、星にもこっちに一緒に居てほしいの」

「私も仕事あるから、星には私が仕事の時に病院にいてほしいの」

「学校はこっちの高校に変わることになるけど」

星は悩んだ。

アイドルになることを諦めて、早苗や祐樹と楽しい高校生活を送れると思ってたのに、こんなことになるなんて。

目から涙が出てきた。

「星、ごめんね」

「辛い思いばかりさせて」

「そんなことないよ」

「お父さんとお母さんにはいっぱい幸せをもらったから」

「私もお父さんのそばにいたい」

「でも・・・」

「そうだよね。友達や彼氏と離れ離れになっちゃうね」

星は両手で顔を覆い、直ぐに涙を拭きとった。

そのまま、お母さんの手を取り

「わかった!一緒に暮らそう!こっちで」

「星、ありがとう」

「うん」


その後2人は病室に戻ると、「星かぁ?」

「お父さん、そうだよ」

「ごめんなぁ、こんなんになってしまって」

「大丈夫!必ず治ってまた元気になるから」

「うん、お父さん頑張るね」

「うん、私も毎日お父さんの顔を見に来るから」

「星、ありがとう」

星の目から大粒の涙が溢れていた。


星はその週は学校をお休みして、群馬にいることにした。

その間、祐樹、早苗に電話でお父さんの病状だけ報告した。


読んで頂き、ありがとうございます。

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