48話 祐樹とのデートと自分への嫉妬
次の日の日曜日、星は朝から祐樹とのデートのための服選びをしていた。
朝のテレビの天気予報では、今日は夏日に近い気温になるとのことで、白の半袖のワンピースにしようと思った。
着替えて鏡の前に立ってみる。
くるんと一周まわって、少し体を斜めにしてみる。
「うん、これで良し」
「でも暑さを考えれば帽子も必要かな?」
星はクローゼットの中にあるいくつかの帽子を被ってみた。
でもどれもイマイチしっくりこない。
最後にピンクの帽子を被ってみた。
「なんかピンクが浮いている。」
「どれも合わない・・・。やっぱり帽子は良いかな?」と自分で納得した。
「あっそうだ、今日はもしかすると祐樹に下着を見られるかも知れない・・・」
自分で言って星はドキドキしていた。
そう言うと持っている下着の中で一番かわいいのを選んで着替えた。
ブラは白と黒がストライプになったもので、下もそれにあった色のものである。
どっちかと言うと高校生ぽいかわいらしめの下着であった。
「これで良いかな?」
星は出掛ける準備を行った。
その頃祐樹の家では
「おはよう、母さん」
「あら、今日は日曜日なのに早いのね」
「うん、ちょっと出かけるから」
「もしかしてデート?」
「まーそんな感じ」
「そうなんだぁ。彼女出来たんだね」
「まーね」
「今度家に連れてらっしゃい」
「そのうちね」
「朝ごはん食べるよね」
「うん、食べる」
「用意するからちょっと待ってて」
祐樹は自分の部屋に戻って、着ていく服に着替えた。
「今日は紺のポロシャツと、茶系のチノパン、結局いつもと変わらないけどね」
そう言うと鏡の前に立って、問題ないかの確認を行った。
「祐樹、ごはんの支度できたよ」
「はい、行きます。」
祐樹は朝食を食べると念のためにもう一度歯を磨いた。
時間は9時過ぎ。
「もう少ししたら出掛けないと」と部屋に戻って、持って行くものの確認を行った。
財布の中にお金があることを確認し、その後かばんを開けて中身を確認した。
かばんの端にいつもは持ってない箱を入念に確認する。
「うん、準備OK!」
祐樹は自分に言い聞かせて家を出た。
朝の10時、祐樹は待ち合わせの公園に来ていた。
しばらくすると星もやってきた。
「おはよう、祐樹」
「おはよう、星」
「祐樹早いね、私も結構早く出たつもりだったのに」
「待った?」
「今来たとこだから大丈夫だよ」
「良かった」
「じゃぁ、行こう!」
「はい」
今日は映画を見るってあらかじめ決めていた。
2人は駅近くの映画館に向かった。
「11時からの映画『恋も嘘も恋愛の内』を予約してるからちょうど良い時間だね」
「この映画ってどんな内容だっけ?」
「これは、好きな人に嘘をつきすぎて取り返しがなくなってくる内容の映画だったと思う」
「女優の夏目由香さんが出ている映画だよ」
「でも最後はハッピーエンドになるって感じがする」
「そうなんだね」
「楽しみ」
「うん」
星は自分のことに少し似ていると実感した。
「何か買って食べながら見る?」
「うん」
「じゃあポップコーンとジュースで良いかな?」
「うん、それでよいよ」
「ジュースは何がよい?」
「私はウーロン茶」
「うん、ちょっと待ってて」
祐樹はカウンターに向かった。
「いらっしゃいませ」
「えっとーポップコーンのLとウーロン茶のMサイズ、それとジンジャエールのMサイズを下さい。」
「ポップコーンのLとウーロン茶のMサイズ、ジンジャエールのMサイズですね。しばらくお待ちください。」
「先に支払い宜しいでしょうか?」
「はい」
「890円となります。」
祐樹は千円札を渡した。
「お釣りの110円です。」
そう言うと直ぐにポップコーンが用意できた。
それを受け取ると、星のところに戻ってきた。
その頃、丁度準備が終わって入場のサインが出た。
2人はチケットを渡して中に入る。
「5番スクリーンだからその奥だね。」
「うん、祐樹重くない?」
「大丈夫」
2人は5番スクリーンの中に入った。
中ぐらいの大きさのホールであった。
「予約したのは一番上の真ん中ぐらいだったね」
予約は一番後ろの席の中央にしていた。
「階段つまずかないでね」と言って祐樹がポップコーンとジュースの入ったケースを片手に持ち直し手を出す。
星が手を添えて、手を繋ぎながら階段を登った。
「ここだね」
2人は席に座った。
「あと10分くらいで始まるから・・・」
「うん、2人は座っても手を繋いだままだった」
映画が始まり2人は真剣に見ていた。
100分ほどの映画が終わった。
「面白かったね」
「うん」
と言いながらも星は複雑な気分になっていた。
「1時前だね、何か食べる?」
「うん」
2人は近くのハンバーガーショップに入った。
注文を終え、ハンバーガーとジュースを受け取り2人は席に座った。
星は映画の内容から、自分もこのまま嘘をついていると余計に言い辛くなると思っていた。
すると祐樹が『HIKARI』の話題を持ち出した。
「前に言っていた、HIKARIさんのYouTubeの登録者数が100万人超えたんだよ」
「えっそうなんだぁ」
星は自分のYouTubeの登録者数が100万人を超えたことは知らなかった。
「すごいね」
「でしょう!」
「本当にね、どこまで有名になるんだろう?」
祐樹はHIKARIの曲がCMに流れることはまだ知らない。
「でも売れると本当に遠くの人になっちゃう、それがちょっと寂しいんだよなぁ」
「祐樹は本当にHIKARIさんが好きなんだぁ。」
「うん」
星は自分のことももちろん好きでいてくれることはわかっていた。
でも同じくらいHIKARIを好きでいることに自分の裏の人にやきもちを焼いていた。
本当は言わないといけないと思っていても、こう言うことが言えない理由となって、もどかしさを感じる。
「さっきの映画と同じだぁ」と星はこころで思っていた。
その間も祐樹はHIKARIの話題を笑顔で話している。
「祐樹、ちょっとトイレに行ってくる!」そう言うと星は立ち上がった。
「あっ、うん」
いきなりの行動に祐樹はしまったと思った。
恋人が目の前にいるのに、好きなアイドルの話をするなんてって
トイレに入った星は大きく深呼吸をした。
「やっぱり今日は言えない。」
「言ったらこの後のデートが出来なくなる。」そう思って少し涙目になった。
星がトイレから帰ってくると、祐樹は星が少し涙目になっていることを気づき。
「星、ごめんね」と謝った。
「うん、大丈夫」
星はわかっていた。「祐樹が嫉妬に気づいたんだぁ」って。
「祐樹、この後私の家に行こう!」
「うん」
2人はハンバーガーショップを出て、バス停に向かった。
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