42話 CM曲の打ち合わせ
星と両親は昼食を済ませ、渋谷のアリス人材派遣会社のビルの入り口に立っていた。
「やっぱり有名なだけあって大きいビルだね」
「そうだね」
「初めに受付かな?」
3人はビルの中に入り、受付の前に向かった。
「いらっしゃいませ。アポイントはお済でしょうか?」
「アポイント?」
「予約だよ」とお父さんがフォローを入れる。
「あっ、CM曲の件で来ました。広報の広瀬様と会う予定です。」
「HIKARI様ですね」
「少々お待ちください」
そう言うと目の前の電話を掛け始めた。
「受付の東です。HIKARI様がお見えになりました。」
「・・・・」
「承知しました。」
「広瀬がただいま来ますので、少しあちらのソファーでお待ち下さい」
「わかりました。ありがとうございます。」
3人はソファーに移動し、腰かけた。
「HIKARIって?」お母さんが尋ねる。
「あー私の芸名みたいなやつ」
「そうなんだぁ」
しばらくすると広瀬さんがエレベータから現れた。
「根元星さん、わざわざありがとうございます。」
「こちら私の両親です。」
「星の父の根元隆です。いつも星がお世話になっております。」
広瀬さんが名刺を用意して「アリス人材派遣広報担当の広瀬です。こちらこそお世話になっています。」と名刺を差し出した。
「あっ、星の母の根元美紀です。星がいつもお世話になっています。」
「こちらこそお世話になっています」と母親にも名刺を差し出した。
「ではご案内します。」
そう言うと広瀬さんと3人はエレベータに向かった。
その時、星に向かって「ご両親に説明されたんですね」と小声で話した。
「はい」
「その方が良いですね」
「はい、ありがとうございます。」
3人はエレベータに乗り、広瀬さんが8階のボタンを押した。
エレベータは直ぐに8階に到着した。
3人は応接室に案内されて「少しお待ちください。」と言って広瀬さんが応接室から出て行った。
直ぐに違う女の人が入って来て、「お茶をどうぞ」と3人分のお茶を用意してくれた。
10分ほど待つと、広瀬さんが再び入って来て、「広報室にご案内します。こちらにどうぞ!」と8階の奥の広報室と書かれている部屋に案内された。
広瀬さんがドアを開け、「どうぞ中にお入りください」
広報室はまるで小さな映画館みたいに前に大きなスクリーンとそれに向かって座席が並べられていた。
3人が中に入ると、既に3名の男性と1名の女性が座っていた。
「えっ、もしかして女優の岸本美優さん?」と星がこころで叫んだ。
そう座っていた女性は数々のドラマや映画に主演で出られている有名女優の岸本美優さんであった。
お母さんとお父さんも明らかに動揺している。
広瀬さんが「こちらにお掛け下さい」と言われたので3人は座った。
1人の中年の男の人が話し始めた。
「根元星様ですね。」
「はい」
「わたくし、アリス人材派遣会社代表取締役社長の南方卓也と申します。」
「この度は弊社のCM曲にご承諾を頂きましてありがとうございます。」
「こちらは、CMの監督、構成を担当します。柳屋隆介様です。」
男性が立ち上がり「柳屋隆介です。よろしくお願いします」と頭を下げた。
3人は立ち上がり、「根元星です。よろしくお願いします」と言うと頭を下げた。
「こちらは、CMに出演頂く女優の岸本美優様と俳優の奏多博様です。」
2人は立ち上がり
「岸本美優です。よろしくお願いします。」
「奏多博です。よろしくお願いします。」
3人は再び立ち上がり「根元星です。よろしくお願いします」と頭を下げた。
星は「奏多博って今若手の注目俳優だよね」ってこころで叫んだ。
広瀬さんが最後に「本日進行を担当しますアリス人材派遣会社広報部の広瀬です。よろしくお願いします。」と頭を下げた。
「では早速、CMの構成を監督の柳屋様からご説明お願いします。」
柳屋さんがプロジェクターを使用し、約30分ほどCM構成の説明を行った。
星は「ほんの30秒ほどのCMの説明がこれほど長く大変なのか」と驚いた。
監督の説明が終わり「何かご質問などありますでしょうか?」と監督が言うと、岸本さんより数点の質問があった。
質問、その回答、追加説明などで約1時間ほど続いた。
監督の柳屋さんが「根元様、CM曲の使用方法はこんな感じで宜しいでしょうか?」と聞かれると。
星は「すべてお任せします」と答えた。
「承知しました。」
監督の柳屋さんが座ると、広瀬さんが「では本日の打ち合わせは以上となります。」
「岸本様、奏多様、明日より撮影よろしくお願いします」と頭を下げた。
会議が終了し、3人がほっとしていると、女優の岸本さんが星のところにやって来た。
星たちはテレビで見ている有名女優が目の前にいることで、極度の緊張が襲ってきた。
「根元星さん、今回のCM曲本当に良い曲ですね。この曲だから私は出演をOKさせて頂きました。」
「まだデビュー前と聞きましたが、あなたはきっと有名になりますよ。私が保証します。」
「もしデビューされて、芸能界に入られたら一度お食事でもご一緒頂けたらと思います。」
「では明日から撮影頑張ります。」
星は立ち上がり「あっ!ありがとうございます」と頭を下げた。
その後広瀬さんが来て「少しお話がございますので、再度応接室にご案内します。」
そう言うと3人を応接室に案内してくれた。
応接室に入ると「こちらにお座りください。」と大きなソファーに3人が腰かけた。
対面する形で、広瀬さんも座った。
「本日はお越し下さり本当にありがとうございます。」
「ご両親の方々は驚かれたことでしょうね」
「はい、本当に何が何やら今でも困惑しています。」とお母さんが答えた。
「詳細は星様から説明を聞いているかと思いますが、再度私の方からも説明をさせて頂きます。」
そう言うと広瀬さんが今までの経緯を両親に説明してくれた。
説明を聞いた両親も少し落ち着いた感じだった。
「ではもう一つ、CM曲の契約料として前回星様に100万円とご説明させて頂きましたが、それからテレビでの報道などで
星様のページの登録者数は100万人近くまで来ています。」
「一般的な相場から300万円とさせて頂きたいと思っています。」
「さ、さ、300万円・・・」
「星の曲が?」
両親はお互い目を合わして驚いた。
「今回親御さんとご一緒なので、口座をお教え頂ければそちらに送金させて頂きます。如何でしょうか?」
「あっ!では、星の口座にお願いします。」と通帳を取り出し口座番号などを説明した。
「では今週中に送金させて頂きます。」
「話は以上となります。本日はまことにありがとうございました。」と再び頭を下げた。
3人も「よろしくお願いします。」と立ち上がり頭を下げた。
アリス人材派遣会社を出た3人は改めて、会社のビルを眺めた。
「やっぱり芸能界って規模が違うね。曲に300万円って、それも星の曲に・・・」
「岸本さん素敵だったね」
「本当にそう!綺麗だった」とお母さんが答えた。
3人は振り向き歩き出した。
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