28話 バズリの理由と後悔
祐樹が中川さんとパソコンを買いに行った次の日の日曜日の朝。
星は新しい曲をYoutubeに上げる準備をしていた。
曲自体はすでに仕上がっていた。
毎日帰宅後に作曲、歌詞などを考えていたためである。
ピアノと生歌を録音したデータも準備済み。
あとは曲のバックに流す風景動画を選択するとアップできる。
星は過去に家族で旅行など行ったときにその風景を動画に収めている。
それを編集し、Youtubeのバック画像としてしていた。
今回も録画していた動画から曲に合う動画を選定した。
曲名は【夢の先のHIKARI】
自分の今の気持ちやこれからのことを歌詞に書いて、曲を作っていた。
「これで準備完了」
「送信ボタンをクリックすれば動画のアップが完了する。」
「よし、完了」
「この曲もみんなに聞いてもらえると良いなぁ・・・。」と思っていた。
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祐樹のスマホにHIKARIのYoutubeの更新の着信が届く。
祐樹は【希望の一歩】をダウンロードして聞いていたため、HIKARIのYoutubeはしばらく見ていなかった。
更新があれば着信が届く設定にしていたためでもある。
「あっ!HIKARIさんのYoutubeが更新された。」
開くと新しい曲がアップされていた。
早速それを再生した。
「HIKARIさんの声だぁ」
「心地よい」
曲を最後まで聞いていく。
「これも良い曲!歌詞も何か今の気持ちを理解できるもので良い感じ」
これも早速ダウンロードしようとした時、その曲のコメント欄が200件を超えているのが目に入った。
「えっ!先ほどアップされたばかりで、もう200件以上のコメント?」
コメント欄を開くと、いろいろなユーザーが「良かった!」と書き込んでいる。
「数週間前はこんなことはなかったはず。」と思いながらトップページを開く。
登録者数45万人、【希望の一歩】再生回数300万回以上
祐樹は一瞬目を疑った。
「知らない間にこんなにも登録者数が伸びている。」
「【希望の一歩】もミリオン回数、なぜ?」と夢の様な気分になった。
祐樹は嬉しい反面、何かHIKARIさんが遠くの存在に見えて寂しい気持ちになった。
その後、ふと何かを思い出した。
「そうだ、俺・・・ユピネスのオープニング曲にしていたんだぁ」
祐樹は気になって、いつもは放置していたゼネレーションLIVEの自分のコメント欄を確認した。
丁度【希望の一歩】を設定した後のコメントを見る。
「この曲良いよね、誰の曲なんだろう?」
「めっちゃこの曲良い!」など【希望の一歩】を絶賛する内容ばかりであった。
その中にあるコメントを見つけた。
「この曲、Youtubeにアップされてたよ!」
「どのYoutube?」
「『HIKARI』ってYoutube、検索したら直ぐに出てくるよ。」
「早速、見て登録しよう!」「私も・・・」「俺も・・・」
その様な内容が数えただけでも数百コメントあった。
多分全部で数千コメント、いや数十万コメントは超えているのだろう。
祐樹は改めて自分のユピネスの影響力を知ることになった。
「どうしよう?俺がオープニング曲に使用したため、こんなにもバズっちゃた!」
「売れてほしいとは思った反面、こんなにも注目を浴びてしまうと本人にも迷惑だったかも?」
「それにファンが増えると、本当に遠い存在になりそう」と思ってしまう。
祐樹は、初めてライブハウスでHIKARIさんを見たときを思い出した。
百人足らずの客席の前で歌っていたあの姿を・・・。
「どうしよう?」
「HIKARIさんはバズっている理由って知っているのかな?」
「知らないでいるならきっと困惑しているんだろうな?」
「知らせた方が良いのかな?」
「それともこのまま・・・」
祐樹はこれをHIKARIさんに言うべきか悩んでいた。
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星は曲をアップした数時間後に自分のYoutubeを確認する。
コメント欄2551件
「凄い!」
内容を確認する。
「これも良い曲、早速聞いています」
「今のHIKARIさんの心境が手に取るようにわかります」
「応援しています」など曲を絶賛する内容ばかりであった。
星は嬉しい反面、複雑な気持ちもあった。
「アップしたとたんこんなにもコメントが増えると言うことは、CM曲で流れたら間違いなく
その影響力は計り知れない。」
「本当にデビュー?」
「自分が?」
「本当のアイドルになれる?」
それが週数間後に現実になることを星はまだ知らない。
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その夜、祐樹は夢を見ていた。
武道館の最前列で、あるアイドルを見上げている自分を・・・。
数万席ある客席は全部埋まって、みんな総立ちで応援している。
ペンライトやそのアイドルのTシャツを着ている。
自分もそのうちの一人。
そのステージにはHIKARIさんが歌っている。
HIKARIさんは最前列の俺に何度も笑顔を向けている。夢を・・・。
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