10話 仕様変更
月の明かりも無い暗い夜、外では梅雨のためか激しい雨が降っていた。
どこの家も雨戸やシャッターを閉めている中、ある家の2階では電気の明るさが目立つように輝いていた。
時間は23時10分 祐樹の部屋
本日もジェネレーションLIVEでGPモーターの続きを行っていた。
普段なら2時間で終わるのが、今日は少し手こずり今になっていた。
「38ステージ、これはめっちゃ難しい。障害物、コースの形状、どれも難易度が高くなっている。」
祐樹はそうぶつぶつとしゃべりながら耳にはヘッドフォンを装着して画面に集中していた。
手はコントローラーの音が響く。
「カチャ、カチャ、グウイーン」使いこんだコントローラーは悲鳴をあげている様だった。
「よし!39ステージクリアー、40ステージまでやろう!」
そう言うと40ステージをスタートさせた。
チャット欄では、いつになくコメントがすさまじい速さで書き込まれていく。
38ステージでは苦しんだがその後のステージは普段の華麗さが戻っていた。
「よし!40ステージ完了!今日はここまで!」
そう言うと祐樹はライブ配信を終了した。
配信が終わってからも相変わらずコメント欄がにぎわっている。
コメント欄25,865件
これだけ多いと全部を確認、返信するのが困難なため、祐樹はいつもスルーしている。
そのため、みんながどんな内容を書き込んでいるか内容をまったく知らない状態となっていた。
「はぁ~疲れた。」
「今日は一段と疲れたなぁ」
と自分の画面を見ていると、ゼネレーションLIVEのメールに通知のマークが出ていた。
「あっ!メールに通知が来ている。」
「何か重要な内容かな?」
メールは一般からの受信は無効にしているため、来るとすれば運営からである。
祐樹はメールタブから最新のメールを開いた。
----以下メールの内容---
いつもゼネレーションLIVEをご利用いただきありがとうございます。
このメールは仕様変更に関する重要な内容となっていますので、必ず一読しご理解をお願いします。
この度、ゼネレーションLIVEの機能拡充による仕様変更を行います。
変更内容としましては、サウンド機能を強化します。
その関係で、ライブが始まる時、ライブ中、ライブ終了の時に好きなサウンド(曲)を流すことが出来ます。
そのサウンドは配信に関係なく、ページを開くと視聴者にも流れる設定となります。
よって、音量などの設定には十分注意をお願いします。
また、サウンドはWAV、MP3に対応しています。
なお、ご使用の楽曲、音源等は著作権を十分考慮し設定をお願いします。
著作権などの問題が発生しましても運営側は一切の責任は持てませんのでご承知ください。
また、著作権侵害のため、警察の方からの申し出があった場合は、ユーザー情報を提供することとなります。
ご理解をよろしくお願いします。
設定方法は・・・・・
-------------------------
「自分のページにバックミュージックが流せられるんだぁ」
「今までは気にしたことがなかったけど、無音だったもんなぁ」
「ゲームの配信中にはそのゲームの音源が流れるから、設定するとすれば、ライブを始める前のプロ野球などで行う入場曲が良いかも知れないなぁ?」
「自分の好きな曲かぁ」
「何の曲が良いかなぁ?」
祐樹は少し考えた。
「プロのアーティストの曲となると著作権に引っ掛かるのかな?」
「よう、わからん!」
祐樹はその手の内容には知識がなかった。
スマホで[曲]、[著作権]について調べる。
・法律相談所
・刑法〇〇・・・。
など難しい言葉がヒットしていた。
「あー頭痛い」
「考えるのはやめよう!」
「お気に入りの曲なら『HIKARI』さんの曲だけど、それも本人に確認しないといけないなぁ」
「しかし、確認するとなるとどうやって確認するのか?」
「ジェネレーションLIVEで使用します。とは言えないし・・・。」
「会って説明するにしても連絡先も知らないし・・・。」
そう思いながら祐樹は『HIKARI』のYou Tubeを開いた。
You Tubeの概要欄を改めて確認すると、そこには
--------------------------------------------------
HIKARIです。
オリジナル曲をYou Tubeで流しています。
みなさんにこの曲を知って頂きたいので、可能ならSNSやその他のツールで拡散して頂けると助かります。
素人の私の曲なので、著作権等は気にせず使用して頂けると嬉しく思います。
よろしくお願いします。
--------------------------------------------------
とあった。
「拡散希望なら、特に本人に確認する必要はないんじゃないかなぁ?著作権を気にしないでって書いてあるし・・」
「それなら『HIKARI』さんのバラードが良いなぁ」
祐樹は『HIKARI』の[希望の一歩]を再度聞いた。
「よし!この曲をページのサウンドとして設定しよう!」
早速、『HIKARI』のバラード『希望の一歩』をダウンロードした。
その後ゼネレーションLIVEの設定画面を開いた。
メールの設定説明も表示し、2画面で設定を行っていく。
「えっと!これか!サウンド設定機能」
「設定ボタンをクリック」
「ページにしたい曲をアップロード」
「しばらくお待ちくださいのロゴが終われば、実行ボタンをクリック」
「OKボタンをクリックすれば設定完了」
「よし!ページを新規に開いてみよう!」
ページを開くと曲が流れだす。
「めっちゃいい感じ!よし、次回からこれで行こう!」
祐樹はゼネレーションLIVEを立ち上げる度に、好きな曲が流れると内心わくわくしていた。
祐樹はパソコンをシャットダウンするとベットに横になった。
「明日も学校かぁ。なんか乗り気じゃないぁ」
「明日も雨予報だし、カッパを着て自転車かぁ」
「想像しただけで行きたくなくなった。」
とつぶやきながらスマホで新しいゲームを検索していた。
時間は24時を回っている。
その後、スマホを手に握り締めた状態で眠りについた。
後日このサウンドの設定が、これが星と祐樹の2人の運命を大きく変えることを祐樹はまだ知らない。
読んで頂き、ありがとうございます。
面白いと思って頂いたら、評価、ブックマークの登録をお願いします。