第9話 造船所建設計画
鋼鉄製造技術の成功を受け、アルバートは父に造船所建設の許可を求めた。
「造船所だと?アルバート、我が家にそんな資金があると思うのか?」
エドワード男爵は困惑していた。
確かにアルバートの技術革新で家計は改善したが、造船所建設となると莫大な投資が必要だ。
「父上、リバーサイドの商人たちから共同投資の申し出がありました。彼らも新しい船舶技術に興味を示しています」
これは嘘ではなかった。
アルバートの技術革新を見た港町の商人たちが、実際に投資を申し出ていたのだ。
「それに、王国海軍も我々の技術に注目しています」
実際、王国技術院を通じて海軍からも非公式な接触があった。
新型蒸気船への関心は高く、軍事的な優位性を求めていた。
父は長考した後、ついに決断を下した。
「分かった。しかし失敗は許されんぞ」
「ありがとうございます!」
アルバートは早速、造船所の設計に取りかかった。
現代の造船所の構造を参考に、この世界の技術レベルに合わせた設備配置を考案する。
まず必要なのは大型クレーンだった。
蒸気動力を利用した巻上機を設計し、重量物の移動を効率化する。
次にドライドック――船体を建造・修理するための乾式船渠の設計だ。
「これほど大規模な建設計画は見たことがない...」
招聘した建築技師も驚愕していた。
アルバートの設計図は、従来の造船所の概念を大きく覆すものだった。
建設工事は秋に開始された。
領地の男性たちの多くが工事に参加し、活気に満ちた現場となった。
アルバートは現場監督として毎日現場に足を運び、品質管理を徹底した。
第9話の成果:
造船所建設許可の獲得
商人・海軍からの投資確保
近代的造船所設計の完成




