第8話 鋼鉄の研究
リバーサイドから戻ったアルバートは、すぐに金属工学の研究に着手した。
戦艦を建造するためには、従来の鋳鉄や錬鉄では強度が不足している。
鋼鉄の量産技術が必要だった。
「ガーレット親方、炉をもう一度改造したい。今度はもっと高温が出せるように」
「また改造ですか、坊ちゃん?今でも十分すぎるほど高性能なのに...」
「今度は鉄ではなく、鋼を作りたいんだ」
アルバートは前世の知識から、転炉法による鋼鉄製造技術を思い出していた。
この世界ではまだベッセマー転炉は発明されていないが、エーテル操作能力があれば、より効率的な方法を編み出せるはずだ。
新しい実験炉の設計図を描きながら、アルバートは興奮を抑えきれなかった。
この技術が成功すれば、装甲艦の建造も夢ではない。
工事は一週間で完了した。
エーテルを活用した新型転炉は、従来の溶鉱炉よりもはるかに高温を実現できる。
そして初めての鋼鉄製造実験が始まった。
「温度上昇中...1400度...1500度...」
アルバートはエーテル感知能力で炉内の状況を細かく監視した。
銑鉄から炭素を除去し、不純物を取り除いていく。
この世界の職人たちには見えない化学反応が、彼の能力により手に取るように分かる。
「成功だ!」
できあがった鋼鉄は、この世界の常識を覆す強度と柔軟性を備えていた。
従来の鉄の3倍の強度を持ちながら、加工性も良好だった。
「坊ちゃん、この金属は一体...?」
「鋼鉄だよ、親方。これがあれば、どんな大きな構造物でも作れる」
第8話の成果:
鋼鉄量産技術の確立
金属強度3倍向上を実現
大型構造物建造の基盤整備




