第6話 蒸気の天才
アルバートの技術革新は、ついに王国全体の注目を集めるようになった。
近隣の貴族たちが視察に訪れ、商人たちは技術提携を申し込んできた。
「スチームフォード家の三男坊は、まさに蒸気の天才だ」
そんな評判が王都まで届いている。
ある日、王国技術院の調査団がやってきた。彼らは国の技術政策を決定する権威ある組織だ。
「アルバート・スチームフォード殿、貴殿の技術革新について詳しくお聞かせ願いたい」
調査団長のバーナード博士は、王国随一の蒸気技術専門家として知られている。
「もちろんです。まずは熱力学の基本原理から説明いたしましょう」
アルバートは前世の知識を駆使して、現代レベルの熱力学理論を分かりやすく説明した。
エントロピー、カルノー効率、熱交換器の理論――
この世界の学者たちが理解するのに数十年かかるであろう概念を、数時間で教授した。
「驚異的だ...これほど体系化された理論があったとは」
博士たちは興奮を隠せない。
アルバートの知識は、この世界の技術レベルを数世代分進歩させる可能性を秘めている。
「アルバート殿、王国技術院の客員研究員として招聘したい。研究予算は無制限で提供しよう」
しかしアルバートは丁重に断った。
王都での研究職より、この領地で実践的な技術開発を続ける方が、最終目標である戦艦建造に近づけるからだ。
「恐縮ですが、まだこの地でやるべきことがあります」
その夜、アルバートは密かに大型設計図を広げた。
そこには巨大な戦艦の設計図が描かれている。
大艦巨砲主義の象徴、現代の戦艦に匹敵する性能を持つ蒸気戦艦の設計図だった。
「いずれ必ず実現させてみせる」
第6話の成果:
王国技術院からの高評価獲得
「蒸気の天才」の称号確立
戦艦建造計画の具体化開始




