第4話 領主の帰還
アルバートの技術革新の噂は、ついに領主である父のもとにも届いた。
エドワード・スチームフォード男爵は、王都での政務から急遽領地に戻ってきた。
「アルバート、お前がやったというのは本当か?」
父は厳格な表情でアルバートを見つめた。
落ちぶれた家名を再興する希望を、三男に見出そうとしているのが分かる。
「はい、父上。ご覧ください」
アルバートは父を工場に案内した。
改良された蒸気機関は順調に稼働し、織物の生産量は以前の倍以上になっている。
工場の収益も大幅に向上していた。
「これほどとは...どうやって学んだのだ?」
「書物と実験の積み重ねです」
嘘ではない。
前世の記憶という「書物」と、この世界での「実験」の組み合わせだ。
父は感慨深そうにうなずいた。
「アルバート、お前に領地の工業開発を任せたい。予算も人員も、必要なだけ用意しよう」
これは大きなチャンスだった。
小さな改良から始めたが、ついに本格的な技術革新に着手できる。
「ありがとうございます。必ずや家名を再興してご覧に入れます」
その夜、アルバートは自室で今後の計画を練った。
蒸気技術の改良はまだ始まりに過ぎない。
最終的には、この世界に現代級の戦艦を建造することが目標だ。
大艦巨砲主義こそが、この世界での覇権を握る鍵となる。
第4話の成果:
父親からの信頼と支援獲得
領地工業開発の全権委任
本格的技術革新への道筋確立




