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第31話 海の皇帝

ヤマトの艤装が完了し、ついに進水式の日を迎えた。


この日は王国の祝日に制定され、全国民が注目する一大イベントとなった。

造船所には10万人を超える見物人が詰めかけ、歴史的瞬間を見守っていた。


「本日、超々戦艦ヤマトの進水式を執り行う」


国王陛下自らが式典の司会を務める異例の格式高い儀式が始まった。

王室専用の祭壇が設けられ、神聖な雰囲気に包まれていた。


「神よ、この鋼鉄の皇帝に永遠なる加護を与えたまえ」


最高位の聖職者による祈祷が響く中、ヤマトは静かに進水台から滑り降りていく。

72000トンの巨体が水面に接した瞬間、大地が震動するような衝撃が走った。


「浮いた!ヤマトが浮いた!」


見物人から歓声が上がる。250メートルの巨艦が優雅に水面に浮かぶ様子は、まさに海の皇帝の降臨を思わせた。


「美しい...なんと美しい戦艦だろう」


各国から参列した海軍関係者たちも、その威容に圧倒されていた。

ヤマトの優美な船体ラインは、軍艦を超えた芸術品の域に達していた。


進水から一週間後、待望の公試運転が実施された。

アルバートは艦長として艦橋に立ち、人生最大の瞬間を迎えようとしていた。


「全機関、前進微速!」


75000馬力の大出力機関が唸りを上げ、ヤマトがゆっくりと動き出した。

その迫力は、これまでのどの戦艦とも比較にならない威厳を備えていた。


「速力10ノット...15ノット...20ノット...」


巨体にも関わらず、ヤマトは軽快な加速を見せる。

優秀な船型設計により、抵抗は最小限に抑えられていた。


「25ノット達成!」


設計値通りの高速力を発揮したヤマトに、艦橋要員から歓声が上がった。

72000トンの巨艦でありながら、軽巡洋艦並みの高速力を実現したのだ。


「操舵性能もテストする。面舵いっぱい!」


舵を切ったヤマトは、意外にも軽快な旋回性能を示した。

巨艦特有の鈍重さはなく、むしろ俊敏な動きを見せている。


「素晴らしい...これほど完璧な戦艦は見たことがない」


同乗していたネルソン准将は興奮を隠せなかった。

ヤマトの性能は、最も楽観的な予想さえ上回っていた。


航海試験の成功を受け、主砲射撃の最終テストが行われた。

今度は実戦を想定した連続射撃訓練だった。


「全主砲、点射開始!」


ヤマトの9門の46センチエーテル砲が次々と火を吹く。

毎分1.2発という発射速度で、50キロメートル先の標的を正確に撃破していく。


「命中率90%!これは驚異的な数値です!」


射撃指揮装置の精度により、超長距離でも高い命中率を維持している。

この性能があれば、敵艦を一方的に攻撃することも可能だった。


公試運転の全工程が成功裏に終了し、ヤマトは正式に王国海軍に引き渡された。


「アルバート卿、君は真に偉大な功績を成し遂げた」


国王陛下からの賛辞に、アルバートは深い感動を覚えていた。


「陛下、これで私の夢が実現いたしました」


しかし内心では、前世の大和への思いが込み上げていた。

ついに大和がこの世界で蘇った。その感動は、言葉では表現できないほど深いものだった。


第31話の成果:

超戦艦ヤマトの進水式成功

25ノット高速力の実証

46センチエーテル砲連続射撃能力の確認

王国海軍への正式引き渡し完了

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