第32話 世界への衝撃
ヤマトの完成は世界中に衝撃を与えた。
72000トン、46センチエーテル砲9門という圧倒的なスペックは、既存の海軍バランスを完全に破綻させていた。
「これはもはや戦艦ではない...海上要塞だ」
ブルトニア帝国海軍本部では緊急会議が続いていた。
彼らが建造中の戦艦は12000トン級で、ヤマトの1/3以下の規模でしかない。
「我々の艦隊全てを動員しても、ヤマト一隻に勝てるかどうか...」
技術格差は絶望的なレベルに達していた。
50キロメートルの射程を持つ46センチエーテル砲は、敵艦が反撃する前に一方的な攻撃が可能だった。
各国で軍拡競争が激化する中、アルバートのもとには世界中から技術協力の申し出が殺到していた。
「スチームフォード卿、我が国でも同型艦の建造をお願いできないでしょうか?」
「技術供与の条件を提示していただければ...」
しかしアルバートは全ての申し出を丁重に断った。
ヤマトの技術は王国の最高機密であり、他国に供与するつもりはなかった。
「我が王国の海上覇権を揺るぎないものとするのが目的です」
実際、ヤマトの存在により王国の海軍力は圧倒的優位に立った。
他国の海軍は事実上無力化され、海上での王国の発言力は絶対的なものとなった。
一方、王国内ではヤマトを中心とした新たな海軍戦略が検討されていた。
「ヤマト一隻で、敵国の沿岸部を完全に制圧できます」
50キロメートルの射程により、港湾都市や沿岸要塞を一方的に攻撃可能だった。
陸上部隊の支援も、これまでとは比較にならない効果的な支援が期待できる。
「これで王国の安全保障は盤石となった」
海軍首脳陣は満足していたが、アルバートの心境は複雑だった。
「技術革新が軍拡競争を加速させている」
自分の発明が世界の軍事バランスを不安定化させていることに、一抹の不安を感じていた。
しかし同時に、技術者としての達成感も大きかった。
ヤマトの戦力デモンストレーションとして、国際観艦式が開催された。
各国の海軍関係者を招いて、ヤマトの実力を公開する政治的なイベントだった。
「これより46センチエーテル砲による長距離射撃を実演します」
50キロメートル先に設置された標的に向けて、ヤマトの主砲が火を吹いた。
参列者たちは、その圧倒的な威力に言葉を失った。
「信じられん...50キロメートルの射撃など、もはや艦砲ではなく要塞砲だ」
「しかも移動可能な要塞砲...これでは対抗のしようがない」
各国代表団の衝撃は大きく、多くの国が王国との友好関係強化を申し出た。
圧倒的な軍事力による外交的成果だった。
観艦式の成功により、ヤマトの威名は世界中に知れ渡った。
「海の皇帝」「鋼鉄の魔神」「無敵戦艦」など、様々な異名で呼ばれるようになった。
第32話の成果:
世界的軍事バランスの完全変革
王国海上覇権の絶対的確立
50m射撃による威力デモンストレーション成功
外交的優位性の獲得




