第30話 46センチエーテル砲の咆哮
ヤマトの船体建造が順調に進む中、最大の見せ場である主砲塔の建造が始まった。
46センチエーテル砲を収める主砲塔は、一基当たり重量1200トンという前代未聞の巨大構造物だった。
「第一主砲塔の組み立て開始!」
専用工場で製造された砲塔各部品が、巨大クレーンにより運ばれてくる。
砲身だけで200トン、砲塔装甲は厚さ400mm、旋回機構も含めた総重量は小型艦艇に匹敵する規模だった。
「46センチエーテル砲身の搭載は特に慎重に」
長さ22メートル、重量200トンの巨大砲身を砲塔に装着する作業は、ミリメートル単位の精度が要求される。アルバートのエーテル操作により、完璧な同心度が実現された。
「砲塔旋回テストを実施する」
1200トンの砲塔を滑らかに回転させるメカニズムは、この世界の機械工学の頂点を示していた。蒸気圧により駆動される旋回装置は、重量にも関わらず軽快な動きを見せる。
「旋回速度良好!270度回転に要する時間は120秒です」
「素晴らしい。これなら実戦でも十分な旋回性能を発揮できる」
第一主砲塔の完成に続き、第二、第三主砲塔の搭載も順次進められた。
3基の主砲塔が船体に据えられた時、ヤマトは真の戦艦としての威容を完成させた。
「副砲の搭載も開始する」
15センチ副砲12基の搭載により、ヤマトの武装は完璧なものとなった。
主砲で遠距離戦闘を、副砲で中距離戦闘を担当する重層的な火力システムの完成だった。
武装搭載の完了と共に、初の砲撃試験が実施された。外海の無人島を標的とした試験射撃は、関係者の注目を集めた。
「第一主砲塔、試射準備完了!」
「発射!」
46センチエーテル砲が火を吹いた瞬間、その衝撃は想像を絶するものだった。
砲口炎は30メートルに達し、爆音は数キロメートル先まで響いた。
「弾着確認!距離50キロメートルで命中!」
設計値を上回る射程を記録した46センチエーテル砲に、見学者たちは言葉を失った。
これほどの長射程砲撃は、戦術の概念を根本から変える革命だった。
「全主砲による斉射を実施する」
9門の46センチエーテル砲が一斉に火を吹く光景は、まさに地獄の業火を思わせた。
その破壊力は一個師団に匹敵し、いかなる要塞も一撃で粉砕する威力を持っていた。
「これが大和の真の力か...」
アルバートは砲撃の衝撃に全身を震わせながら、前世の記憶と現実が重なる感動に包まれていた。
46センチエーテル砲の咆哮は、まさに大和の魂が蘇った証しだった。
砲撃試験の成功により、ヤマトの戦闘能力が実証された。
その威力は既存の全戦艦を遥かに凌駕し、文字通り無敵の存在となっていた。
第30話の成果:
46センチエーテル主砲塔3基の搭載完成
砲塔総重量3600トンの巨大武装実現
50km超長射程砲撃の実証
全主砲斉射による圧倒的破壊力確認




