第18話 巨艦建造開始
戦艦建造の準備が整った。
造船所は大幅に拡張され、専用のドライドックも新設された。
全長150メートルの巨大な建造施設は、王国内でも類を見ない規模だった。
「これより戦艦『アスタリスク』号の建造を開始する!」
アルバートの宣言と共に、竜骨設置の儀式が行われた。
王国の重要な国家事業として、国王陛下自らが臨席する盛大な式典となった。
「この戦艦により、我が王国の海上覇権は盤石となるであろう」
国王の言葉に、参列者たちから大きな拍手が起こった。
竜骨設置から実際の建造作業が本格化した。
120メートルの巨大な竜骨は、それ自体が一つの構造物と呼べる規模だった。
「肋骨の組み立てを開始!」
戦艦の骨格となるフレーム構造が組み上げられていく。
鋼鉄製のフレームは、木造船では考えられない強度と精度を誇っている。
外板の取り付けが始まると、造船所の景観は一変した。
巨大な鋼鉄の壁がそびえ立ち、まるで海上要塞のような威容を見せている。
「装甲の厚さは最大120mm。どんな砲撃にも耐えられる」
主要部分に張り巡らされた分厚い装甲は、この戦艦が単なる大型艦ではなく、真の戦闘艦であることを物語っていた。
機関部の建造も壮大なスケールだった。
出力2000馬力の大型蒸気機関4基が搭載され、合計8000馬力の推進力を生み出す。
「これだけの出力があれば、18ノットの高速航行も可能だ」
重装甲にも関わらず、高い機動力を維持する設計は、アルバートの技術力の結晶だった。
そして最大の見所である主砲塔の設置が行われた。
工場で製造された12インチ連装砲塔が、巨大クレーンにより船体に据え付けられる。
「重量200トン...まさに鋼鉄の巨人だ」
砲塔が設置された瞬間、アスタリスクは真の戦艦としての風格を備えた。
2基の主砲塔から突き出た4門の12インチ砲は、圧倒的な威力を予感させる。
建造開始から6ヶ月、戦艦の船体がついに完成した。
全長120メートル、排水量5000トンの巨艦は、港に浮かぶ他の全ての艦艇を圧倒する存在感を放っていた。
「美しい...これこそが大艦巨砲主義の体現だ」
アルバートは完成したアスタリスクを見上げながら、深い感動に包まれていた。
前世で愛した戦艦たちの血統を受け継ぐ、この世界初の近代戦艦がついに姿を現したのだ。
「これで第一歩は完了した。だが、これはまだ始まりに過ぎない」
アルバートの心には、さらなる野望が宿っていた。
より大きく、より強力な超戦艦の建造――それこそが彼の最終目標だった。
第18話の成果:
戦艦アスタリスクの建造完成
世界初の近代戦艦の実現
大艦巨砲主義の完全な体現
超戦艦建造への野望の萌芽