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シン・事故物件

作者: てこ/ひかり

 友人のNさんから聞いた話です。


 彼女はいわゆる『視える人』で、高校の在学時代からも良く、誰もいない空間を指差しては

『女の子がこっちを見てるから今は危ないよ』

 ……などと私たちに教えてくれました。


 私には霊感の類はありません。ですが、Nさんは真面目一辺倒で、冗談を言うタイプでもなかったので、Nさんがそう言うのなら……と私たちも彼女のオカルトめいた忠告には素直に従ったものでした。実際それで、何度か事前に危機を防ぐこともあったのです。


 その話はまた別の機会に譲るとして、今回はそんなNさんの大学時代の話です。Nさんは都会の大学に進学して、一時は離れ離れになってしまいましたが、私はそれからも定期的に連絡を取り合っていました。


 ある日、Nさんの大学の友人が、一人暮らしすることになったそうです。Nさんもまた付き添いとして一緒に住まい見学に行ったのですが、都内を巡るうちに、どうしても視えてしまった……と後で私に語ってくれました。


 そのうちの一軒は、S区の、東の外れにあるアパートでした。外見は新しめで、駅から近いこともあり、Nさんの友人はたちまちそこを気に入りました。ただ、Nさんは部屋に入った瞬間、じっとりと肌に纏わりつくような、イヤ〜な空気を感じていたらしいです。


 業者も同席していますので、さすがにNさんも「ここは止めた方が良いよ」とは言い出し辛くて、しばらく気づかないフリをしていました。ですがリビングに案内された途端、彼女は思わず小さく悲鳴を上げてしまったそうです。


 リビングの西側、壁一面を埋め尽くす真っ赤な手形。一目でNさんは、この部屋で何かあったに違いないと確信しました。業者の方にそれとなく、「ここで以前事故か事件などはなかったか」確認しましたが、業者は


「ここは今年建てたばかりの新築で、事故物件なんかじゃありませんよ」


 と笑って彼女の話を否定しました。

 しかし、どうもおかしい。

 ざっと見るだけでも血の手形は一人二人の分ではなく数十人分、下手したら百人を越す数が浮かび上がっています。


 この土地がいけないのか? しかし同じアパートの別の部屋も確認しましたが、そこは何ともなかったそうです。最初に確認したその部屋だけ、Nさんは異様な雰囲気を感じていました。友人が呪われているとか、そんな様子はなかったと、Nさんは首を傾げていました。


 結局その友人は、Nさんの忠告に従って別のアパートにしたらしいのですが、後日。


 Nさんが気になってそのアパートを確認しに行くと、やはり惨禍が起きていました。アパートの一室、ちょうどNさんが異変を感じたその部屋で、殺人事件が起こっていました。殺されたのはNさんと同じ大学に通う女子大生。部屋に残された遺体には、まるで大勢に引っ張られたような痕や、皮膚を引っ掻いた爪痕、それから全身に殴打の痕が見られました。犯人は今だに捕まっていません。


 やはり事故物件か、地縛霊の仕業だったんだ。Nさんは自分をそう納得させたらしいのですが、事件はそこで終わりませんでした。Nさんは急いで先日の友人に連絡を取り、このことを話すべく、近所に引っ越した彼女のアパートに向かいました。


 そこで彼女は、信じられないものを目にしました。そのアパートもまた、新築だったのですが、なんとそこにも手形がびっしりと張り付いていたのです。


「壁紙なんだわ……」


 そこでNさんはようやく気が付きました。家や土地ではなく、そこに使われていた一部が呪われていたのです。新築なのに心霊現象が現れるその訳、それは壁紙でした。


 やがてNさんは、手形が現れる壁紙は同じデザイナーが製作し、そのデザイナーが非業の死を遂げていることを突き止めました。


 その壁紙が全国でどれくらい流通しているのか、どの部屋に使われているのかまでは、残念ながら調べることができませんでした。ですので皆さんもどうかお気をつけください。たとえ新築であっても、以前その部屋で何もなかったとしても、事故物件は、呪いはあなたのすぐそばで、もしかしたら息を潜めているかもしれません……。

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