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烙印貴族の下剋上  作者: 宮﨑碧
第1章入学編
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第4話進級式・前編

騒がしかった昨夜とは一変して、とても静かで心地よい日差しが部屋に差し込んだ。ベッドから起き上がり、床にある物を跨いでカーテンを開き窓を開ける。爽やかな風が部屋に入りもう1人の住人を起こす。


「ん〜。はぁ〜。もう、朝か〜?」

「おはようございます。」

「おぉ、おはよう。」

「寝るの遅かったみたいですが、大丈夫ですか?」

「あぁ。大丈夫だよ。もう、1日の始まりか〜。昼から授業でよくね?もっと、寝たいんだけど。」

「では、昼から通学してみては?」

「やめておくよ。何されるかわからないからね。あぁ〜。まだ横になってたいから、先に朝食食べてていぞ。」

「そういうことなら。先行かせてもらいます。」


部屋の外へ出て階段を降りて1階の食堂に行くと。各テーブルに見やすく立てた、ネームプレートが置かれており自分の名前がある席に座ると、ポケットに入ってた学生手帳が反応する。すると、目の前に小さな魔法陣が現れ光ったと思ったら、出来立ての朝食と水の入ったコップが出てきた。


「⁉︎」


びっくりした〜。凄いなこれ。毎日こんなのが食えるのか⁉︎

味も美味しく。量もちょうどよく満たされる。


15分ほどで食べ終えると、再び魔法陣が現れ食べ終えた食器を回収して行った。


便利すぎるのも、問題だなぁ〜。こんな生活続いたら、ダメ人間になるだろ。


そう思っていると、リオルが眠そうな顔で隣に座った。


「どうだ?驚いただろ。この寮にしかない生活魔法だ。」

「驚いた。この学院での食事は、これなのかと思ったけど違ったのか。」

「この人数分なら問題ないけど、全生徒分となると、キャパオーバーしちゃって、魔法暴走を引き起こしちゃうから、改善が必要なんだよね。まぁ、原因はわかってるんだけどそれを作るのが、難しいんだよ〜。」

「俺には、さっぱりわからないな。」

「ハハハ。そりゃそうだ。今見たばっかだもんな。」

「ごちそうさまでした。先に部屋戻るわ。」

「おう!」


食堂から出て階段を上がろうと、一段目を踏んだ所で呼び止められる。


「おはよう。昨日は眠れたかな?」


振り向くと、ニコニコしながら話しかけてきた女生徒が立っていた。


見覚えないな。昨日の歓迎会に居なかった人かな?


「おはようございます。眠れましたよ。」

「そう。それは良かった。ヴィトニル君。少し時間ある?」

「?ありますけど。なんで、名前を?」

「え?覚えてない?昨日は目立つ所にいたんだけど...あぁ。これのせいかな。」


女生徒が自己解決したのか、自分自身に魔法をかける。すると、桃色の髪が茶色に変色し見覚えのある長髪ストレートの女生徒になった。


「あ、確かミミルさん?」

「正解。いや〜髪色と髪型が変わってて気づかなかったのか。結構これだけでも、印象変わるもんね。ほぼ初対面の人には分かりずらかったね。」

「すみません。気づけなくて。」

「大丈夫だよ。私、結構いじるから友達にも、新鮮な気持ちで会えるね。って言われるし。」

「そうですか。」

「そうそう。ヴィトニル君、ちょっとだけ来てもらっていい。」

「はぁ。」


言われるがまま、ミミルさんの後をついて行くと、男性のお風呂場へと案内された。もしかして臭ってたのかと思い。自分の体を嗅いでみるが、そんな自分では感じなかった。


「ここに座って、すぐ終わらせるからさ。」 

「はい。」


洗面台の前に座らせられると、散髪ケープを巻かれる。


「いや〜、昨日からずっと気になっていたんだよね。その、ボサボサした髪。朝は寝癖のせいで、昨日より酷くなってて、居ても立っても居られなくて声かけちゃたよ〜。」

「すみません。お世話かけます。」

「いいえ♪私、結構好きなんですよ。いろんな方にも、頼まれたることも多いから慣れてるのよ。」


体臭とかじゃなくて良かったと、ひとまず一安心だ。邪魔になった髪はいつも適当に切っているので、微妙に長さのバラつきがあり見苦しかったのだろう。ミミルさんは、楽しそうに自分の髪を切っていく。切りたい所を指で一線を引くと、そこが切れていく。


おぉ、これも魔法なのか凄いな。それにしても、親切で優しい人だな。こういう人柄だから、代表やってんのかな?


「ヴィトニル君。」

「はい?」

「私はこの寮が大好きなの。ハティフローズが来ると聞いた時、不安だったんだ。悪い話ししか聞かなかったから、実際会ってみればそんなことなかったんだけどね。...もし、危害を加えた時は私が止めるよ。」


先程までの優しい雰囲気から一転して、冷たい雰囲気になる。彼女の人差し指と中指の2本が、喉元を突き刺しながら告げた。


そんなつもり無いんだけど..。


「脅しですか?」

「ふふふ。なんちゃって♪冗談だよ♪出来上がりっと。散髪する時はいつでも頼ってね。今回の出来が気に入ればだけど。あぁ、あと寮の皆はフレンドリーだから、敬語過ぎなくていいからね〜。バイバイ。」


ミミルは、髪が入った散髪ケープを丸めて収納し、俺に手を振って退室した。部屋に1人になり鏡には、綺麗に整えられた自分が映っていた。時間もないので、俺も急ぎ部屋へと戻ることにした。部屋に戻ると、リオルが制服に着替えてる最中だった。


「遅かったな。」

「ちょっと、髪を切ってもらってた。」

「へぇ〜、似合ってるんじゃない?ヴィトニルの制服はベッドの下に、まとめてあったぞ。」

「ありがとう。」


ベッドの下に手を伸ばし、アタッシュケースの取手を掴み引っ張り出す。中には、制服一式が入っていた。夏服と冬服が入っていたので、冬服の制服を着用する。


「よし!準備できたね。そんじゃ、行きますか〜。場所は、大聖堂だからさっさと行くよ。座る場所が無くなっちゃうからな。」

「昨日学院内の場内マップ見たけど、凄い数の建物と敷地だよな。迷子にならないのか?」

「慣れだよ。慣れ。最初は、先輩達や先生の案内に従った方がいいよ。確実に知らない所に出て、授業を忘れて学院探検を始めちゃうからね。」

「そうするよ。」


俺とリオルは、足早に進級式が行われる大聖堂へと向かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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