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烙印貴族の下剋上  作者: 宮﨑碧
第1章入学編
3/10

第2話新入生歓迎会・中編

第1話の続きです。

ホール会場に到着して見わたすと、かなりの人数が集まっていた。会場の奥にはステージがありその上には『第83期新入生歓迎会』と書かれたパネルが、吊り下げられていた。壁側には飲食類が並べられ角には食器が置かれていた。人の出入りが無くなった頃、突然明かりが消え暗闇になる。ステージを囲むように灯が徐々に灯り始めると、ステージ端から紳士服を着た男性が現れた。ステージ中央へと歩き始め正面を向いた時には、ステージ周囲の灯が灯り終わり、セルバークさんだとハッキリわかる様になった。


「よく集まってくれました。今回の主役は新入生達なので長話しはせず、短めにお話しますね。新入生の皆さん。ようこそミズガルズ中央学院へ。そして、南寮の寮生になってくれてありがとう。先輩達には、変わり者もいますが根の優しい人達ばかりです。困った事や、相談があればきっと力になってくれるでしょう。もちろん、私もできる限り力になりましょう。これから南寮の仲間として、一緒に学院生活を楽しんでいきましょう!」


この場に居る大半が、拍手をして笑みを浮かべていた。中には苦笑いする者もいたりと、人それぞれだが、温かい雰囲気に包まれていた。


「明日はいよいよ進級式です。新たな授業・課題が増え、様々な経験をするでしょう。それらは貴重な経験で、貴方の財産になります。それぞれの"夢"へと、走り続けてください。そんな貴方達を、応援し支え続けます。ヘイム・セルバーク寮長の言葉とさせていただきます。」


セルバークさんが、一礼しステージを下りるまで拍手が鳴り止む事は無かった。拍手が鳴り止むと、会場全体が明るくなりステージ端に目がいく。


「セルバーク寮長、ありがとうございます。それでは皆様、第83期新入生歓迎会を始めたいと思います。壁側に人数分のグラスに飲み物が入っておりますので、各自お持ちになってください。......準備できましたでしょうか?...できたようですね。それでは皆様、元気よくいきましょう!」


『乾杯!!』


皆一斉にグラスを掲げ一気に飲み干し、騒がしくなる。


「しばしの間、お食事等をお楽しみください。」


そう言った彼女は、胸を撫で下ろし一息つくと友達が居る所へ向かってくのを、目の端で捉えつつ料理の前に立つ。どれもこれも美味そうだ。だがその中でも、個人的に惹かれていたのはこれだ。一羽一羽重なって一際目が行く、鳥の丸焼きだ!

くぅ〜〜!たまらん!では、早速。


大きな取り皿に、3つ4つ乗せて会場の所々に配置されているテーブルに置き、鳥の丸焼きを鷲掴みし豪快に食べ進める。


「う、うめぇ〜〜!」


ジュースを飲みながら掻き込む。


「ハハハ。凄い食べっぷりだね〜。」

「ん?」

「はい。これ。肉だけじゃ駄目だよ。ちゃんと野菜も食べないとね。」

「...ゴクッ。」


口の中に入ってた鶏肉とジュースを飲み込み、気が進まないが野菜を摂取する。


「うんうん。偉い偉い。」

「...ガキ扱い..するなよ。」

「そう、感じちゃった?それだったら、すまんすまん。話しの途中で来たから気になってると、思ってたんだけどそうでもなさそうだね。」

「気にはなってた。それ以上に、いい匂いに誘われ飯を食べてたら、まぁ...忘れてた。」

「忘れてたんかい!ハッハッハ!...色々話す前に、名前を聞いとかないとな。あまり、家名で呼ばれたくないだろ?」

「別に。...ヴィトニル。」

「ヴィトニルね。了解。明日、進級式だからそれなりに教えてくれるけど、前知識は必要だと思ってね。」

「?」

「私がなぜ便利屋をしているのか?だけど、自由を与える代わりに、全てにおいて自立していないと在学できないという事。できない場合、即退学になるって所だね。」

「というと?」

「つまり学院での生活費用は、全て自分達で用意する事。親や友人からの仕送りは禁止されている。大雑把に言えば、学外からの物は持ち込み禁止。」

「...。じゃあ、俺退学じゃね?これ、外の人間に貰ったんだけど...。」


そう言いテーブル上に置いたのは、酔っぱらい(ヘロド)から貰った。仕込み刀だ。


「...こ、これは⁉︎...問題ないが、本当に貰ったのか?」

「そうだけど、そんなに驚くことか?」

「バカか!ほれ、ここ見てみぃ!この焼印をしらんのか⁈」

「?」

「本当に知らないのか..。こいつは、ブリード・ブリギッテの作品。し・か・も!こいつは、彼がまだ学院にいた時の作品だぞ!」

「よく、一目見ただけでわかるな。」

「そりゃそうだろうよ。」


‼︎

急に後ろから声をかけられヴィトニルとリオルは、驚き後ろを振り返る。そこには、今にも服がはち切れんばかりの大男が立っていた。


「よぉ。リオル。ずいぶん面白しれぇ面子に、珍しい品があるなぁ。」

「ムザン。」

「俺もお前らの会話に混ぜてくれや。いいだろ?ハティフローズ?」

「いいけど。」

「お近づきの印としてそいつについては、俺から教えてやるよ。世界3名匠に名を連ねる名匠ブリード・ブリギッテ。何を隠そう、ブリギッテはこのミズガルズ中央学院一期生だからなぁ。そして、この焼印は菊の花の中に、また花の蕾。間違いなくブリギッテ氏が、在学中に鍛錬した一刀で間違いない!」

「ふ〜ん。まぁ、ようするに使って良いってことだね。それならいいや。」


再び、食事に戻り食べ始める。


「感想薄!ヴィトニル、これの凄さわかってないだろ。」

「ん?..凄い人が作ったてのはわかるけど。その人知らんし。使えれば何でもいいや。」

「〜〜。...なんと罰当たりな..。」

「大馬鹿者なのか、大物なのかわかりゃせんな。これは..。おい!道具屋‼︎..まぁまぁ、逃げんなよ。」


ムザンの左腕が倍以上の大きさになり、しゃがんでいた少年の首根っこを掴み、俺達の居る席に無理矢理連れてきた。


「は、放せ!放せよ!」

「暴れんな、暴れんな間違えて首の骨折っちまうぞ。」

「いや、それは洒落になんないから。ユウキ。さっきぶりだね。」

「見てないで、なんとかしろよ。」

「う〜ん。なんか面白いからそのままで。」

「ふざけんな!」

「ハハハハハハ。相変わらず可愛い奴だな。」

「嬉しくないんだよ。筋肉だるま。」


ムザンはユウキを掴んでた腕を、ブンブン振り回した後優しく置く。目を回しフラフラと足取りが怪しくなり倒れる。


「な、何するんだよ〜。」

「ま、お互い様だね。ムザンも落ち着けよ。」

「どこがだよ!明らかにこいつが悪いだろ!無理矢理首を掴んできたり、大声出したりして。リオルお前もだぞ!見てるだけだけとか、なおタチ悪いわ!そ・れ・と。」


「お前は少しくらい興味もて!」

「てめぇはいつまで食ってんだ!」

「少しくらい会話に入れよ!」


3人同時に、息ピッタリのツッコミに感動しながら、鳥の骨を皿の上に吹き出す。


「ふぅ〜。満腹満腹。あの会話に入るのは、きついだろ。」

「道具屋。呼んだのは単純だ。アイテムポーチを貰えるか?」

「は?嫌だけど。」

「ユウキ、お前なぁ〜セルバークさんの言葉忘れたのか?助け合いだよ。助け合い♪」

「お前らの解釈はいつもいつも、自分達の都合の良い捉え方してる事、そろそろ気づけよ!」


ユウキは興奮気味に、2人に向かって指を差し指摘するが、当の2人はケラケラ笑い楽しんでいた。


「アイテムポーチを欲しがってる理由は、さっきから聞いてればわかるけど、それらを踏まえても無理だね。」

「聞き耳たててたのか?趣味悪いぞ道具屋。」

「あんな大声で喋ってれば、この会場にいる奴ら全員聞いとるわ。ボケ!」

「アイテムポーチ、いらないんだけど。」

「ほらな、こいつだって..今、なんて?」

「アイテムポーチ、いらないんだけど。って言った。」

「〜〜。今までのやりとりはなんだったんだよ〜‼︎」


ユウキは、髪の毛を手で掻きむしり天井を見上げ叫ぶ。


「ヴィトニル、お前は何もわかってない。」

「そうだぞ。ハティフローズ。嫌よ嫌よも好きの内、って言てだなぁ。さっきのは、貰える流れなんだぜ。」

「誰が、好きだって?えぇ?」

「まぁ、そう怒るなって。本当は、頼られて嬉しいんだろ?正直に言っちゃいなよ〜ユ・ウ・キ♪」

「〜〜。悪ノリしすぎだなんだよ。お前らは、ハティフローズ俺は、はなっからお前に品を売るつもりはない!...。なんだよ。」

「そりゃあねぇぜ。道具屋。商売は信用第一だろ。差別なんかしてたら、客はいなくなるぜ。」

「そうだ。そうだ。」

「ちょっと、待って2人共。ユウキくん。君に聞きたい。それは今後もって事かい?それとも、この場だけの話かい?」

「...俺はあんたを信用できない。このバカ2人はともかく、俺はあんたと関わりたくないんだ。」

「それが聞けたならそれでいいよ。リオル・ムザン無理強いはよくない。」

「しらけるなぁ〜。」

「悪かったな。道具屋。本心から嫌がってたとは思わなかったわ。行っていいぞ。」

「あ、あぁ。」


気まずい空気が流れ周囲が、静まり返るなか元気のいい声が会場に響いた。


「さぁ!お待たせしました。いよいよ、歓迎会もお開きになる時間も差し迫ってますが、こ・こ・で!メインイベントをやりたいと思いまーす!新入生の皆さん、ステージ上にお上がり下さ〜い♡」


会場全員の視線がステージ上の女子生徒へ向けられ、ゾロゾロと人が動き出し俺もステージへと向かった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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