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影の進化  作者: アカグラス
40/42

40 地の利

 

 俺が先日手に入れた[浸食領域]を使うと、視界を黒いモヤが染めていき、辺りからは混乱と焦燥心から怒声に近い声が飛び交っていた。


 俺はその様子を少し確認した後、最も重要な事、マップへと視線を集中させる。今も無限に近いリポップを繰り返す大量のモブ敵も示す赤い点、パーティーメンバーが緑の点でほかプレイヤーが青い点で表示されるそれを凝視する。やはりそうか!この状況なら!あの二人なら!やってくれるはず!!!

 その為にまずパーティーチャットを開き思考入力で、チャットを送っていく。


 『あなた・うな太郎さん!RAMISAKAさん!このスキルは()()のスキルです!今の状況は好機です!』


 『ラミア・どこが好機なのよ!どこもかしこも阿鼻叫喚じゃない!』


『RAMISAKA・あぁ、私も同意する...この視界の悪さで強化されたレイドボスとやり合うのは流石に無謀だろう、むしろこの機会に撤退を推奨しようと思う...』


『うな太郎・もしかして、シーシャ君には何か策が見えた感じかな?』


『あなた・はい!まず先にこのスキルの効果からパーティーメンバー以外は全ステ3割減、あとこの霧です...........』


 それから俺は簡潔にスキルの効果を説明し、この状況が好機になり得る利点を説明する。マップに表示されている雑魚敵は数も多く雑魚と呼ぶにはステータスも高めではあるものの、画面端には群れからはぐれた個体も確認し始めている。そう、このモヤが効果を発揮するのは何もプレイヤーのみでは無いのだ。むしろマップで大体の位置を把握出来るプレイヤーの方が優位に経つことが出来る可能性を秘めている。


『RAMISAKA・なるほど、確かにこれなら行けそうだ!』


『うな太郎・さすが僕が見込んだ男だよ!』


『ベンダー・さすがじゃなシーシャよ!』


『マイラ・ふ、ふん!凄いのはこいつじゃないわよ!』


『RAMISAKA・太郎すまんが作戦を考える時間をくれ』


『うな太郎・3割り減か...それでも1人だと余り持ちそうに無いから早めに来てね』


 会話を見る限り少しの間うな太郎さんが1人で抑える事になったのだろう。いくら3割り減少したとしても強化前なら兎も角、強化後のボスを1人は流石に厳しいだろう。しかし俺にはボスに太刀打ち出来る手段というものが何も無い、いくら侵食領域でステータス値が縮まったとしても俺とボスとの間には埋まらない程のステータス差があるのだから。だから俺は事故が起こらない事を祈るだけしか出来ないのだった。


『RAMISAKA・.........では、早速で悪いがベンダーとマイラは混乱してる皆にこの事と作戦を伝えてき欲しい』


『マイラ・ふふっ、流石ラミちゃんね!わかったわ』


『ベンダー・ほっほ!謝ることなどない!最高の作戦じゃないか!』


 そんな心配も何処へやら...RAMISAKAさん凄いよこんな短時間で!

 時間にして1分程で作戦を組立ててしまうなんて!

 RAMISAKAさん自身の戦闘センスも凄いけど多分、いや確実にこの作戦立案能力からリーダーになってなっている事が分かってしまう。

 今まで作戦らしき作戦が無かったのってボスの惹き付け役&ボスの情報収集をやってたから余裕が無かっただけで、それが、今はうな太郎さん1人で抑えられるようになった事で余裕ができ、ボスの情報整理を出来たのかもな。


「ユキ!俺達もみんなの所にいこう」


 プル!


 俺達も1箇所に集まりつつある場所に向かう事にする。そこから少し離れた位置で既に合流しているRAMISAKAさんとうな太郎さんでボスのヘイトを交互に取り、雑魚敵が2人の邪魔にならないように付近の雑魚敵を処理していく。ステータス減少効果により視界の悪さをものともせず、前衛2人が攻撃を去なせるようになったのは良かった。


「この作戦上手くいくと思うか?」


「んぁっ?わかんねーがこのムカつく豚共に一一矢報いられるってーなら全力でやったやらぁー!!!」


「豚って...イノシシだけどな...まぁ、気持ちは分からんでもないしな、トッププレイヤーの実力を信じて見るか!」


「うぉぉぉお!!!!やってやるぜクソ豚がァァァァ!!!」


「ヒィィィハァァァァァ!!!」


 徐々にではあったが、周囲全てのプレイヤーが集結し、士気も向上していき今が最高潮と言えるだろう...が、声を出した事により近くの雑魚敵が寄ってくるからやめて欲しいです...はい...今も20体くらい接近したからまじでやめてね?


「では、作戦通り8()()に雑魚敵の誘導を頼みたい」


「おっけ〜任せてくれ!」

「ふふっ、いいわよ任せなさい」

「ここが...頑張りどき...頑張る!!!」


 ラミアを含めた機動力、隠密力に優れた8人がそれぞれ別々の方向に散らばりザコ敵にのヘイトを買ってはギリギリ察知圏内を出ないように雑魚を引き連れていき、1箇所に集めていく様子をマップで確認しつつ、俺もその時が来るまで自分に出来る準備を進めるのだった。

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