37 邪念の暴虐 Ⅱ
木・
全然間に合ったですね(( x _ x )
ブクマ、いいね、誤字報告、感想等ありがとうございます!!!
「た、助かった…のか?」
「上手くいってよかった…」
マイラの言う通り、生産職の人達の集まっている所まで下がっていたため対処することができ、戦闘職の居る前線に合流する事が出来た。カースドキングボアのHPが2割削れた事による、ギミック攻撃は俺の予想していた最悪のケースであったものの、一直線と言う対処のし易い物であり、これがジグザグだったり信じられない程の跳躍であったりしないで助かった。
今回使ったのは、シャルサ特製の[火炎爆液:5メートル範囲にいる敵に150の固定ダメージを与える、確率で火傷状態付与]×5である。威力が凄まじく見えたが結局は固定ダメージなので750とダメージが出せる物ではない。だが今の様に、格上の、ダメージが効いてるかどうかも分からない相手にも同等のダメージが出せて、ギミックをキャンセルできる点はこのアイテムの壊れ性能と言えるだろう。
「ブモォ!ブモォォォォオオ!」
「なんだあれ!まだ燃えてやがる!!!」
生産職の誰かが言った様に、五つの火柱が収まりカースドキングボアの姿があらわになるも、カースドキングボアの身体を炎が包んでいる。それにHPバーの下部分に火の玉が三つで一つのアイコンの状態異常が付いている。火傷状態の上位効果だろうか?カースドキングボアを鑑定出来ないから分からないが多分そうだろう。
「ふふっ!今度は私が一番乗りよ![暗影][陰士の双剣]」
「マイラめ…気が早すぎじゃ…」
MPが回復したと思われるマイラが一人飛び出し、スキルを使用するとマイラの姿が消える。気が付けば音も無いのにカースドキングボアの身体にダメージエフェクトがではじめる。マップを確認してみるも、自分を含めてPTメンバー五人分しか表示されていない点から気配を完全に消せるスキルらしいが…こんな序盤に手に入るスキルかそれ!?!?
「いいね!僕も負けてられないね!ははっ!その攻撃はもう見慣れたよ!!!」
うな太郎さんもマイラに続いて突撃していく、何か特別なスキルを使っている様子もなく、純粋にAGIが早いのかもしれないが他プレイヤーを引き付けない速度で走り出した。魔剣解放の効果も切れているであろう身体で、角での攻撃を避け闇魔剣で斬り、また避けて斬るという理解できない動きで圧倒しはじめる。
「はぁ、仕方のない奴らだよ…[瞬迅空歩] 山落とし!」
「ガッハッハ!俺らも追いつくぞ!!!」
「あいつ等早すぎんだろ!!!黒雲スピード上げるぞ」
「ブルルルル」
RAMISAKAさんが空を駆けていきカースドキングボアの頭上に到達すると、回転しながら遠心力を付けた剣を斬りつけた。他のプレイヤー達も攻撃を再開し始め、カースドキングボアのHPがどんどん減っていき、早くも7割になろうとしている。え?マジで早くね!?これ、状態異常のおかげか!?!?
「そろそろ後退する準備を!!!」
「ブモォ!!!」
「な、なにかしてくるぞ!!!」
誰が叫んだかは分からないが、皆が一丸となって集まっていく、これならまた突撃されても対処は可能だろうと思っていると…全身に生えている角や片翼が小刻みな振動をし、ドス黒いオーラを纏い始めるも、状態異常の炎が相殺していく。オーラを炎で相殺したせいで状態異常が回復していた。
「ブモォォォォオオオ!!!」
「ふむ、不味そうじゃのう…ここは儂に任せて貰うぞ[金城鉄壁の構え!]」
カースドキングボアが大きく咆哮した後、身体中に生えてい角や片翼の羽が射出されていく。かなりの範囲に及ぶ攻撃に逃げ場は無かったが、ベンダーさんが前に出て盾で身体を隠す様にスキルを使用すると、光でできた大きな盾が形成されていく。その大きさは全てのプレイヤーを庇うことができる程の大きさで全ての角や羽を防いでしまった。
「流石ベンダー!後は僕達に任せて!」
「あぁ、頼むの、儂も回復したらもう1回は使えるのでの」
ベンダーさんのHPを確認すると残り僅かにまで減っていた。攻撃が直撃した訳でも無いのに減っている為、先程のスキルが原因なのだろうか?詳細は今は分からないがうな太郎さんが先陣を切る形で再びカースドキングボアにダメージを与えていく。
「ブモォォォオ!!!」
プル!!!(あぶない!!!)
「ヤバッ!」
うな太郎さんがヘイトを買っていたはずの、カースドキングボアが此方に突撃してきた。咄嗟のこと過ぎて反応が遅れ対処出来ない。
「[疾風剣!]」
「ブモォォォオ!!!」
「な、何とか間に合ったようね…」
声が聞こえ、其方へ視線を向ければマイラがスキルを放っていた、カースドキングボアはマイラのスキルにより突撃を止め再びうな太郎さんがヘイトを買う。そして俺はマイラに助けられた様だ。姿が見えるようになっている為、スキルの効果が切れてしまったのだろう。
「何ボサっとしてるのよ!そんなだと直ぐに死んじゃうだから!」
「すまん、助かった」
プルプル!(ありがと!)
咄嗟に謝罪の言葉を口にすると、マイラは唇を強く噛んだ後、苛立ちを隠すこともせずそっぽを向き、ボスに再び攻撃を仕掛けに行く。
――――――――――――――――――――――
マイラ視点
彼を初めて知ったのは、レアモンスに纏わる掲示板での書き込みからだった。
「何このスライム…かわいい〜わね!!!」
1分にも満たない動画には彼とスライムが協会前で戯れている映像が映し出されていた。彼が人差し指で撫でると嬉しそうにその指に擦り寄っていくスライムに私の心は完全に奪われてしまった。他にも彼のスライムは人気があるらしく、様々な動画がある中私は余すことなく全てに目を通していった。
今回の遠征に参加するかもしれないと聞かされて、私は断固拒否をした。何故かって?物語何かだとスライムは最強種になる可能性がある、みたいな物も有るけど、このゲームではどこまで行っても最弱でしか無いからよ。
レベルが上がっても、進化しても、攻撃手段は突撃しか出来ない、更には防御力も紙装甲となっている。多少特殊個体ではあるみたいだけどこの子もきっと………
それに主人はスライムよりレベルも低いときて、それで良くこの遠征に参加しようと思ったものよ、そんなんでこの子を守れるとでも?この子の後ろにでも隠れるつもり?見殺しにする気???そんな主人を見てると少しイライラしてしまう。
だから私は、彼の参加を拒否したの、でもゴリちゃんもムー君も絶対参加してもらうって譲らなくて…
だから、私が…私が…後悔しないためにも、私が守らなくちゃ…私がいる限り絶対に守って見せるから…!
読んで頂きありがとうございます




