作文能力の無いとある学生の日記ー9
鐘は今日も鳴り響く。これが恐らく最後に聴く朝を告げる鐘だと覚悟した。この会議で終わる。死ぬか、殺して生き残るか、殺して死ぬか。もうこの三択しか残されていない。昨晩殺されたのは、ヌマタだった。画面には沼田敦志が死亡しました。と、変わらずただ情報を記す。沼田の、いや僕が殺した人達、人狼に殺された人達の分も僕が生きなければならない。キドとハルト。どちらを信じ、どちらを殺すか。それは僕に掛かっていた。これで僕が下す決断で全てが終わる。その重圧は耐え難いものだった。もし、この僕が感じた重圧を表すのならば、何十階とあるビルが大量にのしかかっている様な感覚だった。そんな事を考えている間も二人の討論は続いた。主婦と小学生という親子の年程離れた二人の討論は親子喧嘩なんて物の比にならなかった。その内容はもう覚えていない。ただ記せる事は、火山の大噴火と台風が喧嘩してる様なものだった。そして僕はどちらを追放するのかを決めた。だが僕はそこまで悩みはしなかった。とある理由からそう決めた。それは僕が阿部が追放された日、つまりキドが安達から白出しされた日のことだ。僕は見てしまったからだ。キドが中村の部屋に入って行くのを。死体を確認するのであれば、新井が能力を使ったその翌日に全員が見に行っていた。ならば行く必要などは無い。あるとすれば密談ぐらいだ。もっと早くに言い出すべきだと思っていたが、泳がせておいて正解だった。僕はキドに票を入れた。画面には木戸咲良が追放されます。と今までと変わらず表示された。そして扉が勢い良く開き、無数の暗い色した手が木戸を襲った。彼女は何も言わなかった。ただ笑いの表情に涙を流しながら、彼女は引き摺り込まれていった。
ゲームは終わった。鐘が福音の様に鳴り響き、画面には白陣営の勝利と表示された。そして扉を通ると元の生活へ戻れるとも。僕はハルトを先に行かせて、この手帳を書いている。理由としては、この手帳をここに残していこうと思ったからだ。もしかしたら残らないかもしれないが、何となくだが残す事にした。僕が今使っているこのペンや手帳には所々に錆や傷があった。つまり過去の参加者がのこした物だと分かるには十分だったからだ。
最後に、この手帳を読んでいる者がいるのであれば忘れないでいて欲しい。僕達は誰かの死の上に生きているのだということを。そして人を殺すということは耐え難いものだということを。決して忘れないでくれ。これを読んでいるのであれば、既に殺したか、これから殺すだろう。だが決して挫けてはいけない。自分が生き残るためには、人を信じ、疑わなければいけないのだから。この先を、無事生きていける様に、健闘を祈る。
パタンと私は手帳を閉じた。私は戦わなければいけない。私が生き残るために。