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M.diary  作者: 何故
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作文能力の無いとある学生の日記ー6

 今日も鐘は鳴る。人が死のうと日常は変わらない。どこかで戦争が起きても、遠い所ではニュースの話題に上げられる程度のもの。今まで見向きもしなかった現状に人々は可哀想だとか酷いとか言葉を並べる。それでも何か行動を起こす訳じゃ無い。人が死のうと世界は回る。兼ねてから考えていたこの考えを、僕は真実なのだろうと思った。講堂に行くと他の人達は寝不足な人達が多かった。だが()足りない。ワタナベがいなかった。そして無情にも画面からこの事実を突き付けられた。渡邊わたなべ(あおい)が死亡しました。と。彼女には悪いが、これで良かったのかもしれないと思ってしまった。そう、アダチだ。自分は本当の占い師だと主張しているが、殺されなかったのは狂人もしくは人狼だからだろうということだ。そうで無くとも今晩には殺されるだろうから今追放すれば良いだろうという意見が上がった。だがそれでは被害が増える等々と議論は続いたが、鐘が鳴り、一旦中断することになった。こうも話がややこしくなるとどうすれば良いか分からなくなってくる。本当にもう、ニイイしか信じられなくなってきた。

 鐘が鳴る。夕方の会議の時間だ。講堂には十人の人間が座る。三人も死んだ。流石に心配になってきた。次は自分かもしれないという不安はいつも消えない。そんな中少しだけ進展があった。ニイイ曰く、佐々木は白陣営だったという。狂人であろうと数は着実に減っている。そう、悪い方向へと進んだのだ。これでは黒陣営にとって良い状況しか続かないと踏んだニイイはアダチを追放することを提案した。この状況ではアダチは黒陣営にとっては生きていようが死んでいようがどっちでも良い存在である。というか本物であろうとなかろうと利用されるだけだろう。ならば追放した方が良いのではないのかという主張だった。これには妙な説得感があり、皆賛同した。そして当のアダチは弁解なのか占いでハルトが白だと言った。今となってはハルトを追放してニイイが確認出来なければ真偽は分からない。だがニイイが死ねばただ白陣営を一人減らす行為に繋がるので、この占いには信憑性は無いとされ、ユウトは変わらずグレーの立ち位置となった。そして追放する者はどうするか、結局今日はアダチは一晩保留することになった。そこでローラーで良いだろうとなり、結果としてシミズが追放されることとなった。画面に投票により清水しみず(ゆい)が追放されます。と無情に表示された。もちろん清水は抵抗したし、今までと打って変わって暴言を吐き散らかしたり、見るにも醜い命乞いばかり並べていた。そんな姿を見てふと思う。一歩間違えれば自分もあんな状況になるのではないか、と。出会って四日で殺される。街角で見ず知らずの殺人鬼に襲われるのと、少し関係を築いた人間に殺されるのは、どちらが良いのだろうか。無論両方共嫌だと思うのは当然だと思う。そんな事を彼女が扉の外へ無数の暗い色をした手に引き摺り込まれるのを見ている僕は、いかに最低な人間だろうかと思った。後味は最悪だった。この手で二人殺したのと同然な事をしたのだ。良いわけが無い。この一連の出来事をここに記そうとすると、何と書けば良いのか時折分からなくなる。それどころか何故僕は記しているのか、今にもこの手帳を破きたくなる。この感情は果たして本当に正しいのだろうか。人を殺しておいて、本当におこがましく思う。

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