作文能力の無いとある学生の日記ー3
僕が席に座ると、僕が入って来た扉から正面にある、つまり僕の後ろにある画面にから変な動画というかスライドの様なものが始まった。その内容は、僕たちが所謂デスゲームに参加させられた事、行う内容が俗に言う人狼ゲームだという事、生き残れば戻れるという事。端的にまとめるとこんな感じだった。部屋の中にいた人の反応は様々だった。理解出来ていない者、恐怖する者、怒鳴り散らかしている者、笑い転げている者と、本当に様々だった。動画というかスライドの様な物での説明が終わったら人狼ゲームのルールがその後ずっと表示されていた。
・黒陣営人狼2狂人1
勝利条件 白陣営全員殺せ
・白陣営村人7騎士1占い師1探偵1
勝利条件 黒陣営全員殺せ
・毎朝必ずこの部屋に集合すること
・毎夕一人追放扉に入れること。なおこの行為は強制しない
・夜間は外出してはいけない。ただし役職持ちは除く
・他者の部屋へ入室は出来ない。ただし探偵が訪れた後の死者の部屋の場合は除く
・指示は絶対に従うこと
たったこれだけの簡単なルールでゲームが構成されているのは少し疑問だったが、僕たちは受け入れる他無かった。
その後の落ち着いた頃、一人の女性が自己紹介をしようと言い出してきた。確かに名前が分からなければ議論は出来ないと納得して、自己紹介が始まる事になった。言い出してきた女性はシミズと名乗った。絵に描いたようなOLだった。歳はまだ若そうで、三十手前位だと思われる。次に僕から見て右隣に座っていた少年はハルトと名乗った。小学四年生だという。どういう理由で彼をこのゲームに参加させたのかと疑問を発する者が出る程幼かった。そう疑問を放った少女は、ニイイと名乗った。中学二年生だという。彼女も大概幼いの部類に入るだろうと勝手に思ってしまった。そしてその右隣に座っていた老婆は、掠れる様な小さい声でナカムラと名乗った。その右隣、この市のワッペンを付けた作業着を着ている男はアダチと名乗った。本人曰く、電気関連の仕事をしているとのことらしい。その右隣の青年はアベと名乗った。大学生とのことらしい。そしてその右隣は自分だったので、三浦とのみ名乗った。特に変な印象は残していないハズだが、妙な視線は終始絶えなかった。そして左隣の女性は、ワタナベと名乗った。高校生らしい。僕とタメか一個上っぽい。その右隣の椅子の女性——側にエコバックを置いていた事から主婦と推測した。——はキドと名乗った。その右隣のおっさんはサイトウと名乗った。当たり前だが、終始落ち着きが無い様だった。その右隣の老夫はササキと、ひどく落ち着いた声色で名乗ったのに、変な恐怖を感じた。その右隣の女性は、ハヤシザキと名乗った。どこにでもいそうと思う程個性が無い様に見えた。そして最後に少年、と言っても中学生の子がヌマタと名乗って自己紹介は終わった。
この自己紹介が終わったのを見計らってか、奇妙な鐘が鳴った。学校で流れる鐘とは違う、少し異様な雰囲気を醸し出す様な音だった。鳴った後に、画面に部屋に戻れと表示された。どうやらこの鐘が何か指示がある時の合図らしい。ルールにあった指示に従うことに違反すると何が起こるか分からないため、全員が素直に従った。
部屋に戻ってもやる事は無いので、スマホをただただ見ていた。あの謎のアプリを何となくで開いてみると、参加者の名前が追加されていた。ただ僕以外は全員カタカナだったが。それ以外にも変化はあった。僕の名前の上にだけ村人と表示されていた。気になってタップしてみると役職について表示された。村人 能力は無いただの一般人 白陣営 と記されていた。では他の役職ではどうなんだろうかという疑問がありながらも、何も出来ないのでとりあえず寝ることにした。ここで気付いたのだが、不思議とスマホのバッテリーは減らなかった。こういう機能が普及すれば良いのになと思う。