作文能力の無いとある学生の日記ー2
部屋の外は一本道の廊下の端っこだった。黒い床に赤い壁、均一の間隔で設置されてる壁掛けの電灯。遠目には大きな扉が見えた。恐らくその先が講堂なのだろう。赤と黒という謎に高級感のある様な、普段は立ち入ってはいけない様な雰囲気が醸し出しており、僕の足は自分で意識しているよりもゆっくりと、まるでのんびりと散歩をするかの様に、扉へと進んで行った。高級ホテルに使われていそうな電灯が僕の気持ちを重くしていたのかもしれない。兎に角、変な圧を感じながら僕はあの大きな扉に向かって歩いた。この道が永遠に続いてるかの様に感じる程に。でも永遠では無かった。——当たり前だが——恐らく真鍮製の豪華な装飾が施された取手と対照的に、所々にシミや傷跡がある扉に僕は辿り着いた。僕は数秒迷った後に取手に手を掛け、扉を押した。恐らく二、三キロ程あるだろうと思った。だがそんな考えも、中に人が居ることで一瞬で消えた。十二人が、円卓に座っていた。七、八十ぐらいの老人から、僕より幼い子供まで老若男女様々だった。僕が入って来ても声を上げる者はいなかった。その代わりか、舐め回す様な視線を向けられた。ある意味ステージ上で観客から視線を向けられるよりも嫌な感じだった。僕が入って来た扉から一番遠い、つまり対角線にある席が空いていたので、僕はそこに座った。