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もしまた生まれ変われたら、こんなひまわりみたいな人生を。

作者: 南区茜

生まれ変わったらひまわりになった。



私は前、日向葵(ひゅうが あおい。高校2年生。


「あぁ、お日様が気持ちいな…。」

植物の本能なのか、うだるほど暑い夏の日が

今はとっても気持ちがいい。

光を浴びているだけで、体から力が溢れてくるのを感じる。


人間だったころの私は、いわゆる引きこもりだった。

暗い部屋でゲームに明け暮れ、カーテンは一日中締めっぱなし。

夏に外に出るなんて、考えただけでめまいがする。


そんな私が、今こうして夏の日中にぽかぽか照らされているのだから、

生まれ変わりとは本当に不思議なものだ。


そういえば、ひまわりになって驚いたことがもう一つ。

私の周りには、他にも沢山のひまわりがいて、

皆が同じ方向をみて、一緒に花を開かせている。


昔まだ学校に通っていた頃は、人と同じ行動をするのが癪で

何をするにもいちいち人と騒ぎたがるクラスメイトらを

いつも冷めた目で見ていた。

自分はあんな無個性たちとは違うと、

あえて一人でいる自分が嫌いじゃなかった。


だが今は、

毎日みんなで日の出を拝み、毎日みんなで夕日を見送る。

そんな生活に居心地の良さを感じていた。

皆と一緒。その一体感がなんだか今ではとても嬉しかった。



もしかしたら昔も本当は寂しかったのかもしれない。

人間の時には分からなかったことに、

ひまわりになってやっと気づけた。





ツクツクボウシの声も徐々に減り始めたころ、

私は段々元気がなくなっていった。

首をもたげるのも辛くて、最近はずっと下ばかり見ている。


ひまわりとしての寿命が尽きていくのをひしひしと感じる。


二度目の人生がまさかのひまわりで、

正直もっと別の生き物になりたかった気もする。

けど、ひまわりとしての暮らしも悪くはなかった。


日の光の気持ちよさや、皆と一緒にいる心地よさを味わうことが出来た。

あわよくば次人間に生まれ変われたら、ひまわりのように生きてみたいな。


私は最後にそんなことを思った。





「夏!あんまり寝てると遅刻するよ!」


母の声で目が覚める。

寝ぼけ眼をこすりながら、時計を確認して私は飛び起きた。

「うそ!もうこんな時間!

今日は皆で集まって朝練しよって言ってたのに!!」


慌てて朝の支度を終わらせる。

きっと皆待ってる、早くいかなきゃ!

身支度もほどほどに、向日夏(むかい なつ)は家を飛び出た。


朝だというのに、夏日はすでにさんさんと照り付けてくる。


「今日も頑張るぞー!」

額の汗をぬぐうと彼女は元気に意気込み、

友達の待つ学校へと走って行った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] せつなくはかなく力強く輝く命。 いいお話しでした♪
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