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夏の聖域  作者: 高橋聡一郎
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少女

私が、気付いた時、体は、全く、動かな、かった。

酷く、眠い

また、目が覚めた、知らない、天井

体は動かない

また、目が覚めた知らない天井。知らない臭い、知らない、こんな状況知らない。

酷く苦しい。どうしたらいいの?

私はどうなっているの、わたしは、わたしは、わたしは、どうしたの?

なんで、なんで、なんで、

あれ、今、私はどこ?

気配がした。

知らない中年男性が、気持ちの悪い男が、私を見下ろしている。酷く酷薄な印象を受けた、この人は怖い人だ。誰か助けて、誰か、誰か、怖いよ、助けて、助けて、お母さん。

「起きた?」

「え?」

「よく目覚めたね、良かったよ、飲ませすぎかもって心配してたんだ」

「どういう事」

「あなた、誰」

「ここは、何処」

「ここは、私の家だ」

「誰か、誰か、誰か助けて、助けて、助けて」

男はただ、私が泣き叫ぶのを見ているだけ、何もしないし、表情がピクリとも動かない。何か虫でも観察しているような、異常な感じがとても怖い。

「気は済んだ?」

私は、興奮しすぎて息が苦しくなる。

「大丈夫?」

男は、笑った、微笑みを浮かべた。

「大丈夫だよ、怖いことなどない」

「今、薬を飲ませるから、また、休みなさい」

「いやっ」

男は、無理やり、口を開かせ、何かを口に入れると、それから、無理やり、水を飲ませた。鼻をつままれ、息が出来ず、口を開けざる得ない。

男は、私の鼻を摘まんだまま、口に棒を、上の歯と、下の歯の間に、棒を挟みこんだ。

そして、それから、何も言わずに出て行った。

私は、眠ったようだ。

ぼーーっとする。

どうしたんだろう?

あれ、口に何か、あれ、体が動かない・・・

ああ、そうか、あの男がやったんだ。

完全に私をベッドか何かに固定したんだ。だから、頭も、口も、腕も、足も動かすことが、出来ない、可動範囲が酷く狭い。

ああ、そうか、私は、あいつに誘拐されて、拘束されているんだ。

なぜか、昨日?の興奮は、冷めていて、客観的に物事を観察できた。昨日の恐慌は、無くなり、怖さも減っている。

気配がした。

男が上から見てくる。

「気分はどう?」

「大丈夫?」

私は、なんの反応もするかと、しかし、元々、顔の表情か、手ぐらいしか動かせないのだ。

どうすればいい、こんな時。

学校や親は教えてくれないという、よく聞く話、それが、目の前にある。

「大丈夫なようだね」

「今日は自分で飲める」

「強制的に飲まされるのは苦しいよ」

「飲んで」

男は、薬らしきものを見せ、たぶん、睡眠薬か何かだ。それを口元に持ってくる。

昨日のように、強制的に飲まされる屈辱より、自分で飲んだ方がましだ。

私は、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

口に入れられた、男の手を全力で噛んだ。噛みついた。これで、一矢報いた。ざまーみろ。死ね。この変態が。早く、逃げろ、私は殺してやる、殺してやる殺してやるころしてやる、絶対に、ぜったいに・・・

男は反応を見せない。

悔しい事に、なんの反応も見せない。何なのだ。こいつは、異常だ。こいつは本物の異常者だ、痛い筈だ、髪切れないにしろ、肉は・・・・

「気は済んだ?」

「気が済むまで噛みな」

血の味がした。

私の顎の筋肉は、疲れて、力を失っていく、そして、私の心の絶叫もまた、疲れていく、力を失っていく。あれ、眠い、ねむい・・・・・。

まだ、拘束は続いている、今日は起きてから、何日目なのだろうか?

男が部屋に入ってきた。

また、薬の時間か。

慣れてきた。

もう、怖いとも思わなくなってきた。こいつは異常者、そして、私は抵抗できない。

そう、もう、何をしても無理なのだ。無理だ。そう、

「起きたね、どう?調子は?」

「今、口の拘束を解くよ、舌を噛んで、死ぬことも可能だ。好きにするといい」

「あくまで、君の判断を尊重するよ」

男は、口の棒を、取る。口が酷く、くたびれている。しかし、開放感はすごい、ああ、気持ちいい、こんなに気持ちいいことがあるのか、私は、恍惚とした、幸福感に包まれた。

私は、口が自由に動かせる。これで、意志表示できる、助けも呼べる、、、、舌も噛めるのか?・・・・。

男は、出て行った。

「あ、あーーー」

「あいうえお」

「私は、〇〇です」

「助けて下さい、誰か、ここに監禁されてます。相手は異常者です。」

「助けて下さい、誰か、ここに監禁されてます。相手は異常者です!」

「助けて下さい、誰か、ここに監禁されてます。相手は異常者です!!!」

「助けて下さい、誰か、ここに監禁されてます。相手は異常者です!!!!!!」

私は、絶叫し続けた。

だが、何の音も、しない。

誰の声も、音もない。

何もない。

あれ?

どうして?

どうなっているの?

あれ?

長い長い、拘束が、体を全て覆う拘束が、酷く疲れさせる。酷くつらい。苦しい。助けて欲しい。誰か、助けて。あの男は、この拘束を解いてくれる、つもりないのか!

死ね、死んでしまえ、

いや、待て、

拘束を解かなければ、私が危険だ。

どうすればいい?

どうすれば・・・・・・

時間が長い

何も聞こえない、何も何も、あ、臭いだ

ウンチの臭いがする。

あ、股が気持ち悪い、お尻が・・・・

あれ、これって・・・・

私の・・・・・

頭が動かせない、天井しか見えない。

苦しい、気持ち悪い

あれ、

あれ、あれ?

どうなってるの?

これ、いつになったら外して貰えるの。

ああ、そうか、あの男を誘惑してでも、嫌でも、何をしてでも、拘束を、拘束をなんとかしなきゃ。

男が入ってくる気配がした。

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