表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Memory of ReLIFE  作者: 雨霧紅人
第1章 始まりの一週間
1/25

プロローグ ▪️▪️▪️▪️


 ―――そこには二人の男女がいた。


 見える景色は赤く染まり、あちこちで火の手が上がっている。


 焼けた木々の弾けると怒号が飛び合っている。


 空気には何かが焼け焦げる匂いと、足元の血だまりの匂いが入り混じっており嗅覚が狂ってしまう。


 炎と血だまりと夕焼けで一面が赤く、赤い世界が広がっている。


 その真っ赤な世界の中に二人の男女が立っている。


 二人ともおびただしい量の血に汚されているがそんなのは気にならない。


 血も傷も痛みも苦しみも、そして地面一帯に転がる死体も、そんなものは関係ない。


 少年は目の前に立つ少女から零れる涙を拭う。


 「―――ごめん…ごめんな…君を守れなくて…」


 「―――ん、ううん、大丈夫…大丈夫だからあ…」


 「これが、終わったら…聞いて欲しいことがあるんだ」


 「――うん」


 「だから、だから……だから」


 少女は少年を抱き寄せ、頭を優しく撫でる。今度は少年の目から涙が溢れ出してくる。次第に少年は力が抜け、少女の胸に頭を預ける。


 しばらくし、落ち着いたのか少年は少女の胸の中から離れる。


 「――もう、大丈夫?」


 「ああ、また頑張る力を貰ったよ」


 少年は少女に向けて笑顔を見せる。無意識に握っていた手は温かく生きている感覚を思い出さしてくれる。



 ―――突如世界が暗闇に包まれる。


 真っ暗な暗闇が、冷たく悲しい影が、全てを飲み込んだ暗黒が―――


 握られていた手が離れていく。伸ばした手も届かず、体の感覚がなくなり上下左右すらわからない。


 「――――――」


 愛おしい少女の名前を呼んで、世界は終わりを迎える―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ