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2、迫り来る、警部の足音

御鶴城研吾の殺人事件について、捜査は一向に進んでいなかった。

目撃者は0。第一発見者の山城麻理花にしても、たいした情報は持っておらず、捜査は難航を極めていた。

それでも何度も学校には足を運び、教職員や山城麻理花に話を聞いて回っているが、やはり有力な情報は得られないでいる。

(あんな猟奇的な殺し方、一目につかずに行えるものか?しかも学校という閉鎖空間においてだぞ?)

今日も大崎は、学校へとやって来た。いまだに、蓮本奈緒や事件の日に唯一早退をしてそれ以後の足取りが掴めない九連影という生徒には事件の以後、会えて居ない。

(今日こそは・・・・)

そう思って、彼らの教室を昼休憩の時間帯に覗いてみたのだが、目的の人物たちは席を外していた。

「悪いね、蓮本奈緒さんと九連影君は休みかい?」

既に刑事という身分を明らかにして学校には何度か姿を見せているため、馴染みになった生徒も何人か居る。

その中の一人である男子生徒を発見し、大崎は彼に声を掛けたのだ。

「警部さん」

「どう?」

「蓮本と九連?さっきまでそこで飯を食ってたけど」

彼はそう言ってぐるりと教室の中を見回したが、彼の姿がないのに気付いて、

「あれ?」

と頓狂な声を上げた。

「っかしいなぁ。何処行ったんだ?」

(逃げられた、な)

以前、校門で出会った蓮本奈緒という少女の顔を思い出す。

凄くダルそうで、面倒くさそうで。でも意外と眼には強い光をたたえていた、不思議な子だった。

「まあ良いよ。少し構内を探してみる」

「はあ」

級友が刑事に探されることを、この生徒はどう思っているのだろうと大崎は少し興味を持った。

だが、今大事な事は、蓮本奈緒や九連影と接触すること。

午後の授業が始まる前に見つけてやろうと、大崎は彼に礼を言って、歩き出した。




あと五分で昼休憩終了の鐘が鳴る頃になって、日向の携帯電話が鳴った。

どうやらメールが着信したようだ。

「九連?」

液晶画面に眼を落としていた日向の横顔が徐々に強張ったことに気付き、奈緒は声を掛ける。影も、息を呑んで双子の兄を見守っている。

「・・・大崎って警部が、教室に来たって。影と蓮本を探してる」

「やっぱりね」

奈緒が溜息を吐き、心底面倒そうに天を見上げた。今にも煙草を取り出しそうな雰囲気である。

「どうする?」

「とりあえず休憩が終わるまで、此処にいましょう。ここに大崎が来たら、適当にはぐらかすわ・・・話はすることになるけど、まあ、仕方ないね」

影が緊張して、小さくなる。うまく話せるか不安で仕方ないのだろう。

とにかく大崎が屋上にまで足を伸ばさないことを願うばかりだった。





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