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加藤 詩音編 メイドインゴーレム その3

<異世界(加藤 詩音)サイド『メイ:ゴーレム兼メイド』>


上野 栞に逢いたくて、異世界に来たためか、その人物が…異世界由来の場合に、私には…その人物が、元の世界の誰か…理解ってしまうらしい。


奴隷拳闘士として、日々、ボロボロになるまで、拳闘士訓練所でスパルタ教育を受けている少年。


■名前:パーズ ■職業:拳闘士 ■性別:男 ■年齢:12 ■Lv:9


この子は、水泳部の佐藤 巧くんだ。巧くん…いえ、パーズは、必死に涙を堪えて、拳闘士訓練所から帰ってきた今も…筋力トレーニングをしていた。


「おい、パーズ。少しは強くなったのか?」


必死に努力し、これ以上、何をしろと言うのか? そんなパーズにご主人様は、心無いセリフを投げかけるのだ。


もし…この子が、佐藤 巧くんだと、ご主人様が知ったら? もっと優しくなるのか? この世界では珍しくないが、ご主人様は…簡単に人を殺すのだ。それに、「何でもっと早く言わなかった?」と、問い詰められても困る。


ごめんね。パーズ。私には、救ってあげられないよ。


「は、はい。ご主人様。拳闘士訓練所で、上位クラスに編入できました」


「ふう〜ん…。いいよ、かかってきな」


ご主人様は、贔屓目に見ても強い。いや、強すぎるのだ。犬亜人の嗅覚、聴覚、牙、爪、脚力という能力。からくり人形の隠し暗器とそれを使いこなすくノ一のセンス。そして…不老不死のゾンビボディ!!  こんなのに…ただの人間の子供が勝てるはずがない。


目にも止まらぬ拳と足のコンボが決まった。ゴーレムならばわかる。拳4、足5だ。パーズは、地面に這いつくばり、血反吐を地面にぶちまけていた。勿論、意識はない。


ご主人様は、パーズの髪の毛を鷲掴みにすると、引っ張り上げた。私は…関わりたくなかったが…。


「ご主人様。これ以上は…。既に内蔵に損傷が見られます」


「何と言う…脆弱な生き物だ? やはり…購入したのが間違いか? このまま、殺してしまうか?」


ご主人様が、パーズを殺す確率は、かなり高い。あぁ…。何と言う日なのだ。


「ご主人様…。この少年は、佐藤 巧です」


「はっ!? マジで?」


「は、はい…。黙っていて申し訳ございません。どうか…お許しください」


「で? こいつ、治るの? 治んないなら、楽にしてあげたいんだけど?」


「な、治してみせます。お時間を頂けないでしょうか」


あぁ…。ご主人様の信頼を失ってしまったかも知れない。なんで…あんな不潔な部位が付いている男なんて助けてしまったのだろうか? 私には、栞ちゃんだけで、よかったはずなのに…。


「お母さん…まだ…死にたくないよ…」と呟く…パーズに、母性本能がくすぐられたのだろうか? 優しくベッドに寝かしつけ、この前、盗賊をぶち殺したときに持ってきたポーションを飲ませるのだった。


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