新宮司 純編 聖女と吸血姫 その10
<異世界(新宮司 純)サイド>
吸血鬼に対する各教会のスタンスは、天成教会は検体、真光協会は生贄、女神教会は抹殺なのだ。
シスター・ベルティーアは、創造神を信仰する天成教会に身も心も捧げた信者であり、教会の有力者にも認められるほどの人物でもあった。だから何よりも…規律を重んじた。
シスター・ベルティーアは、王都ベスベスタの貧民街の孤児院に、吸血鬼がいると宣言する。そして冒険者ギルドへの登録と国家安全保障管理局を行ったことにより、冒険者ギルド・王国・天成教会が身の安全を保証することになったのだ。
それは宗教戦争の始まりを予感させるに十分すぎる出来事であった。
非公開であるが姉のウェリルメルがハーデェレンを尋ねていた。また立会人であるヴァグナーは、ただ黙って二人の話を聞いていた。
「なぜ…こんな馬鹿げたことをしたの? 霧の都ベスタラに隠れていれば…」
「無理よ。お姉様だって…私が邪魔だったのでしょ!? 聖女と呼ばれていても、殺気は隠せなかったわよ?」
「そ、そんな…わたしが…あなたを?」
「意地悪な言い方をしてごめんなさい。お姉様は聖女といえ人間です。善と悪の心が同時に存在すのですから、気にする必要はありません。それに私はありのままで生きたいのです」
「私は…」
「お姉様はお姉様の道を、私は私の道を、それではいけませんか?」
「ウェリルメル。ハーデェレン。今日はここまでにしようぜ。一度、今日の話をゆっくり考えた方が良いだろう」とヴァグナーは話し合いの終了を告げた。
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<異世界(石田 悠人)サイド>
「アーク。鏡の魔法は、アイテムボックスみたいに使えるのかい?」
(パラレルワールドの出入り口として使っているだけだから…例えば、この部屋で鏡の中に物を入れた物は、隣の部屋じゃ取り出せないわ)
「無理っぽい」
「マジかっ!! それで姿を隠せると思ったのに!!!」
「えっと、魔法の本からの提案だけど、本物の魔法のランプをパラレルワールドのアークの部屋に隠します。魔法のランプの複製を作ります。それを持ち運べば、盗まれれも壊されても、また複製を作れば大丈夫らしいよ? それに複製だから魔法のランプの魔力や意思も本物と複製で伝達し合えるって、つまり…? どいういういこと?」
アークと魔法のランプは、魔法の本に言われた通り、鏡の世界に本物を置いて複製を作ると、アークのベルトにランプを括り付けた。
「ほぉ? 偽物で声も出せるし、周りも見える。アークも見える?」
「うん。本物を持っているときと変わらないや」
「これで魔法のランプの安全も確保できたね!」




