新宮司 純編 聖女と吸血姫 その9
<異世界(新宮司 純)サイド>
ご主人様と出逢った階層から、数階層も下がっている。いよいよ噂にたがわず地下迷宮が牙を剥いたのだ。
「ご主人様は、柱の後ろに下がってください」
通路の天井の位置が高くなったと思っていたが、ここが巨人族が住む階層だとは気が付かなかった。
巨人が振るう大木を引き抜いただけの棍棒。その大木がこの地下迷宮の何処に生息しているのか聞きたいくらいだ。その棍棒の重い一撃を霧化で避け、変化で背中に翼を生やし、巨人の顔の位置まで飛んだ。
「はぁぁぁっ!!」拳を固く握り、巨人の眼球に正拳を叩き込んだ。吸血鬼の膂力は、そこらの戦士を遥かに凌ぐのだ。
「ぎゃぉぉぉっ!!」巨人は顔を両手で覆い、のたうち回るが、通路に整然と並ぶ柱で巨大な体が止まった。
今の自分に巨人を一撃で倒せる方法などなかった。「ご主人様、今のうちに逃げましょう」
無理に倒す必要など無いのだ。私はご主人様と手を繋いで、巨人が塞いでいた通路の奥へ走った。奥に進んでいくと、途中で人間サイズの扉を発見する。扉を少しだけ開けると、また人間サイズの通路が続いている。ここならば巨人は入ってこれない。
扉を閉め通路を進むと、人間の臭がした。「ご主人様、人間が近くにいる可能性があります。もしも敵対するならば、殺害する許可を頂けないでしょうか?」
ご主人様は驚いた表情をするが、真剣に悩み始め、考えならが回答した。
「まずは相手と話してみよう。それが駄目なら…仕方ない」
私達がその人間の前に姿を表すと…。
「おいおい、裸のガキに、半裸のメスだぜ?」
「ガキは…目が見えねぇのか? 殺しちまえ。女は…げへへへぇ」
「ご主人様。生かす価値もないようです」
私は魅了で戦意を喪失させると、盗賊が持っていた剣で、その場にいた三名を斬り殺した。するとLvが上がり、暗黒魔法を覚えた。
「あっ。殺す前に、出口を聞いておけばよかったですね。しかし…この程度の盗賊たちがいる階層では、魔法のランプなどあるわけないですよね。もっと下に行かなければなりませんね」
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<異世界(大山 駿)サイド>
振り下ろされた剣を小さな盾で弾くと、ガランと空いた胸に短槍を突き刺す。
「どうなっているんだ? 盗賊だらけじゃねぇかっ!」
もうこれで20人以上の盗賊を倒している。何で地下迷宮に、これほどの盗賊が? もしかして…地下迷宮を利用して、王都から金銀財宝を奪っているのか!?
魔物も危険だが、盗賊も危険だ。早くアークを見つけなければ…。




