岩下 さくら編 アークと魔法の本 その15
<異世界(岩下 さくら)サイド>
アークの体が完全再生すると、吸血鬼は、アークと主従契約を結びたいと相談してきた。
アークは命の恩人である吸血鬼を信用していた。話はどんどん進んでいくのだが…。
(アーク、待って! 契約は、私の魔法を使って!)
新たに覚えた血書の魔法。これは魔法陣を血で印刷した後、発動する魔法だ。その魔法陣は事前登録するタイプなのだが、既に幾つか登録されていた。
「ハーデェレン。契約は、俺の魔法を使っていいかい?」
「あなた…アークの魔法? どんな魔法かしら?」
(うーん…と、アーク。お腹ね。この吸血鬼のお腹に手を当てて。従属の魔法陣を印刷するの)
「あ、あの…女の子に。し、失礼だと思うのだけれど、この魔法はお腹に…魔法陣を描くタイプらしいんだ」
「そう?」吸血鬼は恥ずかしげもなく服をめくりお腹を出した。
アークは吸血鬼のお腹に手を当てて従属の魔法陣を印刷し、発動させる。
「血書の魔法:印刷:従属……………発動!!」
お腹の魔法陣が赤黒く光る。そして静かに魔法が完了した。
「ず、随分と…簡単に高度な魔法を使うのね」と吸血鬼も驚いていた。
■名前:ハーデェレン ■職業:吸血姫 ■性別:女 ■年齢:10 ■Lv:19
アークと私の頭に吸血鬼の情報が流れ込んできた。吸血鬼じゃなくて、吸血姫!? それに10歳…。でも、アークと年齢が近いじゃない!? やばい、変な運命を感じた。
「あの…ハーデェレン。命を助けてくれて、ありがとう」
「気にすることはありません。ご主人様。それで…ご主人様は、なぜこのような場所に?」
アークは、ハーデェレンに、ここまで来た理由などを話した。
「そうですか。でもご主人様がいた地下迷宮と、今いる地下迷宮が同じ物とは限りません。王都の地下迷宮は複数の迷宮が入り混じっています。つまりご主人様が目指す最下層は、ここの最下層と同じとは限りません」
「そうなのか…。でも、ハーデェレンと出逢ったのも運命と信じたい。だから、きっと、この地下迷宮の最下層に、魔法のランプがあると思う」
アークは反対されるかも知れないと思いながらも、最下層を目指すことを宣言した。一度死にかけているにも関わらず、行くなど馬鹿としか言いようがないのだから。
「わかりました。ご主人様。このハーデェレンが命に変えても最下層までサポートいたします」
「いや…できれば、ランプを探した後も、ハーデェレンと一緒に地上で一緒にいたいのだけど…」
ポッとハーデェレンの頬が赤らめるたのを、魔法の本の持ち出しのスキルで召喚されていた私は見逃さなかった。




