根岸 太一編 定番販売で成り上がり その2
<異世界(根岸 太一)サイド>
俺は異世界で定番の”手押しポンプ”や”クロスボウ”などでひと儲けすることが義務付けられている。そんな気がするのだ。そこも踏まえて、アークの保護者であるシスター・ベルティーアに相談した。
「恐らく神の啓示なのです。私が得る儲けの半分をアークに譲るという契約を結ばせて下さい。契約書は商人ギルドに管理してもらいます。私が信仰する創造神の啓示の通り、アークを求め、アークに救われたのです。創造神はアークとの契約を望まれています」
この孤児院が属するのは、創造神を信仰する天成教会だ。創造神の名を出してしまえば、シスター・ベルティーアはノーと言えないだろう。
「それと…。今すぐに商売は始められません。工房との契約も必要ですし、何かと準備に時間がかかります。それまでにお考え下さい」
シスター・ベルティーアの隣で座っているアークは、ポカーンとした顔で聞いていた。
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<異世界(岩下 さくら)サイド>
アークと街を歩く。アークは3つの魔法を駆使して素早く歩けるように訓練中なのだ。予知で自分の行動に問題ないかを確認。探知でまわりの人間の居場所を確認。調査で空間の形を認識している。
10歳未満のアークは本来、魔法の本の保持を禁止されている。そのため最近手に入れた魔法の本のスキルを使って私は消えているのだ。
【通知:スキル収納:不要なときに魔法書が自動的に消える】
しかも! スキル無詠唱系:意志の疎通の能力で、アークは本を出さずに魔法を発動可能なのです!
すごいぞ! 私!! しかし本を出さないと、私の視界はゼロ! 全く何も見えません!! でもなぜか音は聞こえます。もしかしたら、アークの目が見えていたら、見えていたのかも知れませんね。
なので、一応、安全のためシルシーに手を繋いでもらっています。
「おじさん、こんにちは!!」
「おう、今日はなんの用だ?」
この声は、雑貨屋の店主オーガイル。ここはシルシーが私を盗んだお店です。今はシルシーが二度と盗まないと誓い、毎日のようにお買い物に来ているため、親子のように仲良くなっています。
元々オーガイルは愛想が良く、長話、無駄話が大好きなのです。今日もシルシーとアークのために、街で仕入れた噂などを話してくれます。
「この王都の地下には、大小様々な地下迷宮が幾つもあるんだ。その一つに、魔法のランプがあって、その中には…今は世界を探しても何処にもいないという精霊が閉じ込められているらしい。まぁ、その精霊と契約できる者は、夜な夜な夢の中で…地下迷宮に来いと、呼ばれるらしいがな!」
「きゃーっ! 怖い話し嫌い!! 夜おトイレ行けなくなる〜」
「シルシー…。別に、怖い話じゃないよ。オーガイルさんの話し方が怖いだけだ」
「わはははっ。まぁ、シルシー…気を付けるんだぞ! 知らない声に呼ばれても、絶対に行っては行けないぞ!」
「う、うん。絶対、シルシー行かないから!!」




