新宮司 純編 聖女と吸血姫 その5
<異世界(新宮司 純)サイド>
戦いも三日目に突入した。国が指定した危険地域である”謎の墓荒らしが出没する墓地”だ。何日戦おうとも、誰一人として来やしない。
くっ! マジでどーなんてんだよ…。ゾンビ如きに、ここまで苦戦するなんて…。こんなんだったら、興味半分で来るんじゃなかったぜっ! と、こちらは集中力も切れ掛かっている。
何に…。あちらは今始まったばかりのような、テンションの高さ!?
ぐっ! 油断した…。謎の暗器で手首を切断された…が! 血術、血剣創造!! 吹き出る血飛沫を剣に変え、近づいているゾンビの首を切断した。
「はぁ…、はぁ…。し、勝負ありだな。だが、こんなゾンビ…ウェリルメルお姉様が見たら、おーどーろーくーぜぇ!!」
地面に落ちた生首がカッと目を見開き驚く。「あなた…新宮司?」
今度は、ハーデェレンこと、俺が驚く。
「お前は…。岩下? 花音? それとも男か??」
ゾンビは落ちた生首を拾い首に乗せる。「花音よ、それより…ひつだけ先に聞かせて。あなた女の子の体になったからといって、自分の体で、いやらしいことしていないわよね?」
その問に、俺は顔を真っ赤にして答える。「あ、あのな…。そりゃ…日本だったら…。誰のも見れないし、見せてくれないだろ? だからこそ、神秘的と言うか、興味の対象であり、性の対象だった。でも今は自分が女だ。女になったら、そんなことに…性的興奮しないし、俺の心も…徐々にハーデェレンという女の子に染まってきたし…」
じー…と冷たい目で見られ「まぁ、わかったわ。そこは信じてあげましょう。それと私も花音ではなく、エーサという名があるの。エーサと呼んで」と上から目線で言われた。なぜ? 俺が勝ったのに??
俺はエーサに姉のウェリルメルや女神教会から追われているため、足取りを追ってこの墓地に来る可能性があることを伝えた。そもそもこの墓地も、国が指定した危険地域であり、冒険者の討伐隊が来る可能性もあると付け加えた。
「なるほどね。ではハーデェレンと一緒に行動しないほうが良いのね」
「あぁ。ウェリルメルや各教会には、光や神聖属性の魔法を使う者が多数いる。ゾンビのエーサとは相性が悪すぎる」と言って、小さな袋をエーサに投げつける。
「これは?」袋の中に入っている金貨を確かめるエーサを見ながら話を続ける。
「兎に角、ここを離れて、人としての生活を身に着けろ。そうだなぁ…今、王都は流行病が蔓延していて、やたら元気だと、逆に目立つからな…。そうだ! ここから東にある湖の町に行け。そこそこ大きい町だ」
「ありがとう…。でも、ウェリルメルは大丈夫なの?」
「あぁ、問題ない」
「あの…エ、エーサ…。ゾ、ゾンビ臭いかな?」モジモジと体をくねらせながら聞いてきた。恐らく人間だったら顔が真っ赤なんだろうが、常に青白いため表情だけ読み取るに、相当気にしているのだろう。
一応匂いを嗅ぐ。クンカクンカ。
「大丈夫だ。吸血鬼の嗅覚で問題ないのだ、人間ならわかるまい」
「最後に教えて。ハーデェレンは”帰らずの島”にある”北条 彩乃”の魂を破壊する気はあるの?」




