新宮司 純編 聖女と吸血姫 その3
<北条 彩乃サイド>
【通知:異世界を覗ける水晶がLv3になりました。お出かけモードが使えます】
お出かけモードとは、水晶が自宅にあっても、異世界の映像が見れるというもの。映像は脳内に写し出されるため、学校でも楽しめるのだ。
刑事が言っていた、集団の中でも消えるという現象を目で確認したい。
『とある商人が貧民街の宿屋に宿泊していた。なぜ王都ベスベスタに来たのか? それは神からの啓示を信じて、盲目の少年と契約をするためだ。しかし王都ベスベスタで流行病の8日病に感染し、高熱のため幻覚を見ながら貧民街を彷徨う。そこで魔法を練習していたアークと出会う。彼は運命の出会いと信じ契約する。そして数々の発明品を生み出すのだが…。』
今度は、商人だね。えっと…誰にしようかな? 教室に幾つかの空席がある。わたしが異世界に送り込んだクラスメイトの席だ。おっと、今はそんなこと関係ない。商人っぽい男の子を探す。う〜ん…金、金にガメツそうな…守銭奴、”根岸 太一”君決定です!! おめでとう〜!! パチパチ!!
ササッと万年筆で名前を書き足す。
【通知:異世界を改変できる万年筆がLv3になりました。書いた文字はあなたにしか見えません】
うん。これがあるから、後でノートをチェックされても、安心だね!!
さらに、あの鬱陶しい刑事たちも、異世界送りにします!!
『王都ベスベスタに流行病が蔓延する中、王都の周辺の盗賊団をまとめ上げる謎の二人組が現れた』
ま、こっちはそんなもんで、名前は、”関口 勝”と”東 真司”だったかな? 二人には親切な異世界レクチャーや情報のロードはいたしません!
行ってらっしゃい!! うんうん、これで完璧なアリバイも出来て、問題解決だよね?
二人の名前を書き足したところで、”根岸 太一”の姿が突然消えた。教室は阿鼻叫喚の大パニックと成り、教室から逃げ出す者、その場で震える者、泣き叫ぶ者…リアクションにも個人差があった。
一応、わたしも、驚いた表情で、ポカーンとしておこう。
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<異世界(新宮司 純)サイド>
くっそ…。思ったよりも辛い。戦闘力は申し分ないのだが、日光に完全耐性がない…火傷もするし能力がガタ落ちだ。それに吸血が必要、食べ物も必要って…生活が辛い。
ウェリルメルの刺客とは、今のところ遭遇していないが、竜を討伐する程の冒険を達成するのだ。どんな手を使ってくるか、想像も出来ない。
だが、クソ楽しいぜ。異世界。始めっから魔物スタートだ。人殺しなんて気にしてられねぇ。殺るか殺られるかだ。彩乃もこっちの世界に来ねぇかな…来たらぶっ殺してやるのによ。
日光を避けるため、人里離れたオンボロの小屋で足止めを喰らっている。オンボロ過ぎて、日光が入り込んでいるんだ。動くと火傷するのだが、これが剣で刺されるよりも痛い。
血を欲しているのだろう、喉が渇く。
なんとなくだが…いや、絶対にそうだろう…。連続失踪事件でいなくなった連中も、この異世界にいる気がする。俺が吸血姫だとしったら、あいつらどんな顔するんだろう?
唯一気がかりなのは、アニメの最終話だけだ。永遠に知ることがないと思うと腹が立つ。




