藤浪 花音編 墓地でぼっち、でも空腹で その1
<異世界(藤浪 花音)サイド>
いやぁぁぁぁぁぁっっ!! 何で花音が、犬亜人で、半分体がからくり人形で、ゾンビで、くノ一なのよ!!!
もう、嫌だ。絶対に、ここから出ないから!! 多分、ここは土の中。空気がないから、数分に一度は窒息死している。正直、苦しい。でも、ここから出たくない。
ゾンビって臭そうだし。いや、腐ってるし。からくり人形って、どこのパーツが肉体じゃないわけ?
陸上部で、こんがり日焼けして健康的だった花音。貧乳だったけど、自分が好きだった。いつもお風呂上がりに、自分の裸体を5分ぐらい眺めるのが、一番幸せのひと時だったのに…。
それが…なぜ?? こんなことに?? 北条っ! 絶対に許さないわっ!!
ぐ〜っ。お腹が鳴る。窒息死の苦しみには耐えられても、空腹は駄目だ…。
甘い…スイーツが食べたい。でも、絶対に出ないから!!
この時点では誰も気が付いていないが、花音の驚異的な意思は、異世界を改変できる万年筆の強制力が及ばない程の力を持っていた。何故なら、アークに会いに行かず、土の中にいるのだから。
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<北条 彩乃サイド>
花音さんは何かの幼虫ですか? そのうち、体から草とか生えてきちゃいますよ?
そういえば登校日に、友達が花音さんのこと心配して泣いていましたよ? ちなみにわたしも、何か雰囲気変わったねとか、人間ぽくなったねとか、少し太ったねとか言われた…。
ポテチの袋に手が伸びる。いや…駄目だ。見た目がデブなんて、その域に達するのは、まだ早すぎる。ここは深呼吸して、空気でも食べよう…。
土の中で蹲る幼虫女は放っておきましょう。
気を取り直して、水晶で貧民街を観察する。
相変わらずのルーティンワークだ。観ていて安心します。
しかしギームスがたまに見せるかげりのある表情が気になる。心を覗き見してみれば、なんてことはない。周りの大人がパメラを奪い合っていて、それが気に入らないみたい。スキルなどに七つの大罪があるならば、嫉妬か憤怒あたりが、発動してもおかしくない情況ですね。
異世界男子って、情熱的ですね…。
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<異世界(岩下 さくら)サイド>
ふむふむ。私の魔法書に書かれている魔法は全部で6系統だった。
時間、空間、因果、血、影、鏡。その系統の中でも事象と支援に分かれていた。そして気が付く。私がLvアップすると、本の目次に新しい魔法が写し出されるのだ。
はぁ、でも…結局アークが、目で読まないと魔法が発動できないのよね…。
私が発動する事象の魔法は、テスト用の空間が用意されていて、そこで発動するのだ。つまりアークのいる空間ではない。あぁ…テスト用空間じゃなければな〜。
いいえ! アークが諦めないのなら、私も諦めない!!
いっしょに頑張ろうね、アーク!!




