大山 駿編 二級冒険者と加齢臭 その4
<異世界(大山 駿)サイド>
一切の無駄がなく、全てが流れるように、オレは…はぐれゴブリンの首を刎ねた。そして両手剣に付着した血を振り払う。
(ちょっ! ちょーかっけー!! オレ!!!)
腰を抜かしている衛兵に手を差し出す。「大丈夫か?」
「は、はひぃ!!」と恐怖で腰を抜かしていた衛兵の手を引っ張り上げ立たせる。
「まぁ、”はぐれ”だからな。もう襲ってはこないだろう」
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<異世界(岩下 さくら)サイド>
アークが触れている…。どうにかして、言葉を伝えられないかしら?
私は魔法の本。だったら、私自身が魔法を使えるようになれば…。
そんなことが可能なのかしら?
最近ステータスなるものを再確認した。6500年も経過しているのに、よく残っていたな私。
それにLv1とか、それだけの時間で何もしていなかったの??
■名前:暗黒六芒星魔導書 ■職業:本 ■性別:− ■年齢:6500 ■Lv:1
自分自身の目次を頭の中でイメージする。
えっと…時の魔法…時報…。はい? じ、時報とか…魔法で知るものなの??
”13:30”
おぉ! 魔法使えた!!
しばらく時報を使い続けてみよう。レベルとか上がるかもしれないし。
シルシーがアークの勉強時間を邪魔しようとしていたから、手を引っ張る。
「何よ? ヒルク」
シルシーには悪いという思考も感情もない。ただ欲望に忠実なのだ。
「駄目だよ。シルシー。あれはアークにとって、大切な時間なんだ。そうだな…。シルシーがアークと遊ぶ時間を邪魔されたら嫌だろ?」
「うん。今、ヒルクに邪魔されてる」
「ぐっ…。そ、それと同じような気持ちに、アークがなったら、もしかすると…二度とアークはシルシーと遊んでくれないかもしれないよ?」
「嫌っ! アークと遊びたい!!」
「なら、アークの邪魔をしないで。もう少しだけ我慢して」




