色欲の罪、堕ちた勇者と対峙する
いや〜頑張った!
「結構歩いたわね〜」
「そうだな〜」
森の中を歩いていくアスモデウスとエマ、村から旅立って数日間も立っていた。
「そういやこれ、どこ向かってるんだ?」
「水の都、アトランタ、ここら辺で一番近い首都、美しい外観を保つのと水が汚れるとあっちも困るから、この辺じゃ天使達の横暴がマシなところよ」
「ヘぇ、水の都……綺麗そうだな、早くお目にかかりたいなぁ〜」
枝を掻き分けつつ目を輝かせながら返答するアスモデウス、そんな彼に呆れるエマ。
「いっとくけど、着くまでにまだ三日くらいはかかるからね」
「うっへぇ〜」
嫌そうな色を顔に滲ませ彼女の方に振り返るアスモデウス、途中、女性の悲鳴が響き渡る。
「キャアアアアア!!!」
悲鳴の声に顔を合わせる二人。
「あっちからだ!!」
「うん!」
鬱蒼とした森の中を枝などで頬や露出してる部分が切れるが、気にせず疾駆する二人。
走ること数分、遂に悲鳴が響いた場所についたが、その瞬間、二人の目の前でメイドらしき人が切り捨てられる光景が広がる。
馬車を守るように立ちはだかる彼女達。
メイドさんの背後には長く美しい水色の髪、髪と同じく青い透き通ったサファイアのような瞳、鼻筋は高く、色素の薄い唇、魚の鱗めいた耳を持っていて、瑞々しい肢体、男を誘惑してくる豊かな胸と尻。
それを包むのは上等そうな服を着ており、上着に青いブレザー、下にワイシャツを着ており、首元に赤いリボンが巻きついておりスカートは黒と白のチェック柄、どうやらどこかの学生のようだ。
背後の少女は悲鳴をあげる
「ああ!!イザベラ!!」
「逃げてください、お嬢様」
真っ白いエプロンを自身の血で赤く染まし、地に倒れながらそれでも主人を慮る、何という忠誠心。
しかしそんな忠誠心も無駄、これから彼女の主人の尊厳は蹂躙される運命だった。
「ヒャハハ!!大丈夫、殺さねぇさ、だって犯せなくなるからな!!」
「今日のは上玉だこりゃ」
「可愛がってやるぜ〜」
周りを取り囲むは無数の男たち、頭にバンダナを巻いていたり、薄汚い獣の毛皮やボロ布で作られた上着、ズボンは膨らんでいて足首のところで細くなっている。
袖なしだったり指なしグローブをはめていたりと男によって様々な服装をしているが、顔には伸びすぎた髭、体は薄汚く、体臭もきつく、全員何週間も風呂に入っていないようだった。
皆一様に少女の体に興奮しており、発情の色を表情に滲ませ、いやらしい笑みを浮かべている。
奴らが今にも襲いかかろうとしたその時、男の声が響く。
「おい、お前らまさか先に楽しむつもりじゃなかっただろうな……いつもいってるだろ、俺が楽しんだ後に次にお前らだってよ」
「ひ、ゆ、勇者サトウ・ショウタ先生、す、すまねぇ」
「いいさ、実際にはやらなかったんだ、許してやる」
背後から出てきたのは前はもっと綺麗な服だっただろうが、今は薄汚れていて、落ちぶれた貴族のような服装をしている。
服とは違い、手には白銀に輝く長剣を持っており、少女に近づいていく。
「それじゃ、ついてきてもらおうか、ソフィア・ローレライさん」
ソフィアの首元に剣を突きつきながら、顎で合図し手下達に縄で拘束させようとしたその時、アスモデウスの叫びが木霊する。
「お前ら何してんだ、やめやがれ!!」
「あん?………お前は…………」
訝しそうにアスモデウスを貫く勇者、直後爆笑する。
「誰かと思ったら、アスモデウス・サキュストか!??七大罪の!?!ハハハハハハハハハ!!お前の方こそ何してんだ?、こんなところで」
勇者の言葉に顔を青くする手下達、不安そうに尋ねてくる。
「な、七つの大罪??、あの伝説の??!、だ、大丈夫なんですか?先生?!?」
「大丈夫さ、あいつらのボスですら俺が倒してやったんだ、それに……あいつは七大罪最弱って評判だったからな、多分お前らでもやれると思うぜ………ってそんなことよりも隣にいいもんいるじゃねぇか、おい、お前らに女が回ってくる回転率が上がりそうだ」
「お、おお!わかりやした!流石先生!!俺らとは目の付け所が違う!」
舌舐めずりしながらエマの体を観察する勇者と手下達、その視線に悪寒を感じて身を抱く彼女。
彼らの視線を遮るように前に出るアスモデウス、皮肉げな微笑を携え勇者を嘲笑する。
「三千年って月日は長いと思ったが、人を腐らせるには十分すぎたな、まさかこんなことをするほど落ちぶれるとは……大方、神族に挑んだけど歯が立たなかったってところか?………そりゃお前はその聖剣がなければ何もできないし、聖剣くれたのはその神様だもんなぁ……勝てるわけがない」
「………黙れ………」
アスモデウスの挑発に青筋を浮かべら勇者、低く唸るように手下達に指示する。
「お前ら、こいつは俺が殺す、目の前で女犯して絶望させてやる」
「やってみろよ」
なお焚きつけるアスモデウスは指を立ててチョイチョイと挑発する。
その挑発に我慢がきかなくなった勇者は一足飛びにアスモデウスの懐に入り込み、一刀両断しようと剣を振りかぶる。
アスモデウスは詠唱を開始する。
「武器結晶化工程開始、結晶化完了、結婚証明武具顕現、淫罪・情熱炎剣!!!」
手の先に輝きを宿しながら、勇者の剣を身をひねって回避、直後、手に握られる炎の魔剣で勇者を両断する。
「な……ば、馬鹿な………」
断末魔の呟きをした後に地に倒れる勇者。
勇者弱すぎ案件。