色欲の罪、旅に出る
駆け足で書きました!
「な、なにぃ、我が槍を受け止める剣だと!!?き、貴様そんなものどこから……」
「………敵に教えるわけねぇだろ」
鍔迫り合って均衡を保っていた槍と剣、しかし、徐々に剣に接してる槍の部分が融解してくる。
「なっ!!?」
「……誰だろうが、俺の大切な人に手出すなら、叩っ斬るだけだ!!」
驚愕の声を上げるメロペーに覚悟を乗せた咆哮をぶつけるアスモデウス。
彼の咆哮に答えるが如く、魔剣からほとばしる炎の火力が上がり、槍を両断する。
そのままメロペーも槍と同じ末路を辿らせ、一瞬立ち尽くした後、力無く地に倒れる。
焼き切ったので血はあまり出ておらず、傷口が炭化している。
メロペーが事切れたことを確認し、炎を鎮火させ、剣の熱で乾ききる前に横に振って血を払うアスモデウス。
頭の中にラビの声が響く。
『武具収納といえば武器は指輪に戻ります』
「武具収納」
呟くや否や、炎剣は指輪に戻る。
「おお、便利!!」
一人はしゃぐアスモデウスにエマは呆然と呟く。
「え、えっと、どういう事、何、今の剣」
◆◆◆◆◆◆◆◆
「…………つまり、あの剣は悪魔の能力の一種で、私と一線を超えたから、宿ったってことね…」
「そうそう!、でもなんで炎の剣なんだろ?」
「………実は私、不死鳥の亜人なのよね……だからじゃないかな……」
「え!?そうなの?!?」
「うん、そもそもメロペーがここに配属されたのも、ここが不死鳥人族の村だからさ」
「な、なるほどね〜」
「………っていうか、こんな呑気にしてる暇はないわ、とっとと皆んなで村を出て逃げましょ!!すぐに増援がやってくるわ!村長のところに案内する!」
「そ、そうだな!!」
エマと一緒に村長のところに急ぐアスモデウス、しかし途中で自身が抱えた方が早いことに気づき彼女をお姫様抱っこする。
不意に抱き抱えられたため、驚きの声を上げるエマ。
「キャッッ!!?」
「……こうした方が早いでしょ、それに……エマに触れるし」
「も、もう〜アスモは〜♡」
イチャイチャしつつ疾駆するアスモデウス、その時間は数分程度だったが、彼にとっては永遠に等しい時間を感じた。
そんなこんなで村長の家に着きノックする二人。
間を空けずに初老の男性が出てくる。
「おや、エマ、一体何の用だい?」
ゆっくりと聞いてくる老人、エマは口早に伝える。
「大事な話があるから、中に入れて!」
「………何やら切羽詰まってるようだ、いいよ入りなさい」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「そんな事が、そうか、君が七大罪色欲の罪、アスモデウス・サキュスト、まずは……礼を言っておこうか、エマを守ってくれてありがとう」
初老の純粋な感謝が込め、頭を下げる、そんな彼に慌てて返事をするアスモデウス。
「い、いえ、か、彼女は俺の封印を解いてくれた恩人で、あ、当たり前のことをしただけです!」
「なんと……悪魔とは思えない謙虚さだ……貴方になら、エマを任せてもいいでしょうな」
「……そ、そんなことないですよ……」
「とりあえず、早く行こう!村長!」
「うむ、そうだな、だがエマ、一つ言っておく、お主達は今すぐここを発て、我らとは別方向に逃げるのじゃ」
「な、なんで?!!?」
「……お主らは天使を倒してしまったのだろう?なら、真っ先に狙われる、そんなお主達と行動を共にすれば、ほかの村人達が襲われる、ここは別方向に逃げた方が相手を撹乱でき、お互いの囮になれる………じゃろ?」
「た、たしかに、わかった!!達者でね!村長!」
「うむ、武運を祈るぞ……」
急いで村長宅を後にし、村から飛び出していく二人
彼らの果てしなく険しい旅が始まった。
旅に出るのは男の夢!!(断言