色欲の罪、新たな力を手に入る
頑張ったけど結構時間かかっちゃった!!
朝
カーテンすらない窓から眩しい朝日が容赦なくアスモデウスの顔を照らしてくる、その眩しさから意識が覚醒して体を起こす。
「ふぁ〜っ………もう朝か………」
彼の呟きの後聞き覚えのない声が返事を返してくる。
『おはようございます、マイマビル、初夜達成の快挙おめでとうございます』
無機質で機械的、感情を一切含まない定型文を読み上げる女性の声、驚愕するアスモデウス。
「だ、誰だ!お前!」
『………ご自身の左手の薬指をご覧ください………』
頭に響く指示通り、自分の左薬指を確認、そこには真紅の指輪がはまっていた。
「な、なんだこれ………」
『使用条件が満たされたため私が解禁されました………説明が遅くなり、誠に申し訳ございません、私は七大罪色欲の罪、補助擬似悪魔、色欲兎と申します、色欲の罪の力とともに代々受け継がれてきてました、継承式の時に私を貰いませんでしたか?』
「色欲兎……じゃあラビってとこか、たしかに指輪もらったわ……でもすぐにどこいったかわからなくなったんだよな」
『実体化に必要な条件が未達成だと消費を抑える状態、消費魔力節魔モードに入ります、だから消えてしまったのでしょう』
「そ、その条件って……」
『異性との初体験ですね……』
「ってことはやっぱ昨日のことは夢じゃないのか!くぅぅぅ、やったぜ!!」
アスモデウスは歓喜の声をあげる、その声に目覚めるエマ。
「もう〜何騒いでんの〜アスモ〜」
「え、い、いやちょっとね!」
「…………もしかして、もう私としたくなっちゃったの♡」
胸に寄りかかりながら頭の後ろにてを回し、耳元で甘く囁いてくるエマ。
我慢しきれず誘惑してくる彼女の耳を執拗に舐め続けるアスモデウス。
「ひゃぅぅぅぅう〜♡、も、もうアスモのエッチ〜♡」
甘い声を上げてくる彼女の口を自身の口で塞ぎ、そのまま押し倒すアスモデウス。
「「……んっ………」」
長い間口づけをかまし続ける二人、唐突に唇を離す、二人の口に唾液の糸が繋がっており物凄く尊い光景。
「………エマもしたいでしょ?」
「………うん………♡」
朝からまた愛し合う二人。
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愛し合った後は着替えて朝食をとっている二人、不意に気になったエマは彼に疑問を投げかける、
「そういや、アスモの服、あんま見たことないけど、それなんなの?軍服?」
「あ〜これ学生時代の制服なんだよ、軍服支給されたんだけど、よくイタズラで隠されちゃってさ〜この服なら馬鹿にするネタになるから許してくれたの〜」
「そ、そう……」
「そうそう、………伏せろ!!!」
彼女の返答の直後、前からアスモデウスがエマに襲いかかり押し倒してくる。
「キャッッッ!!?ちょ、ちょっとこんな所でだ、ダメだって♡」
彼女の甘い声を上げた瞬間にリビングのドアがぶち抜かれ、そのまま朝食を乗せたテーブルも粉砕される。
宙に挙げられた皿は甲高い耳障りな音を立てて床に落ちていく。
木屑や砂埃で視界が悪い中、家に入ってきた闖入者に対して皮肉げに呟く。
「………ノックぐらいしろよな……」
彼のつぶやきに応じたかのごとく、砂煙の中から一人の天使が現れる。
金色の天使の輪、白銀の翼、神々しい槍を携え、隆々としたい体格、下っ端の天使とは一目で格が違うとわかる。
「ふん、貴様ら下賎な存在の人間やら悪魔に礼などいらん、むしろ無礼こそ貴様らにはお似合いだ、特に我ら天使に盗みを働いてくれたそこの小娘にはな……」
侮蔑の色をたっぷり含んだ眼で二人を貫ぬきつつ、エマには特別憤怒の顔をする天使。
天使の態度にイラつきをあらわにしながら呟くアスモデウス。
「………そうかい………」
呟くや否や、自身の声が天使に届くの同時に男の目の前で踏み込み、視認すら不可能な神速の拳で男の腹を撃ち抜く。
「ブォッッッ!!?!?」
轟音と奇妙な呼吸音を漏らしながらも、吹っ飛ばず、なんとかその場に踏みとどまる男。
口からは吐血が溢れ、血が滴って服に染み込んでいく。
「………はっ、高貴なあんたらには美しい血がよく似合う、流石天使、戦闘中にお洒落にまで気を使うとは、俺らとは余裕が違うな」
皮肉たっぷりに挑発するアスモデウス、そんな彼の言葉に憤怒する男。
「き、貴様、俺が七征伐直属部隊プレアデス第七小隊小隊長メロペーと知っての狼藉か!?」
「…………先に喧嘩売ってきたのはあんただろ、何言ってんだ?」
冷たい視線でメロペーを貫き続けるアスモデウス。
メロペーが手に持つ槍の先から雷を放ってきた。
驚愕しながらも難なく避けるアスモデウス、しかしそんな彼の後ろに回り込み槍を振りかぶってくるメロペー。
タイミング的に避けることは難しいと判断したアスモデウスは槍を交差させた腕で防御しようとするが、不意に頭の中に警告の声が響く。
『ダメです、マイマビル、避けてください』
数瞬、疑問に思ったが、ラビの助言に素直に従い、手を添えながら、うまくそらし避け切ろうとするアスモデウス。
添えた手の表面が槍に帯電している雷によって焼け爛れる、激痛に眉をひそめながらなんとか凌ぎきる。
槍で溶かしながら床に突き刺すメロペー、その隙に伸ばした腕に一発蹴りを入れて、その反動を使い、バックステップ、距離を取るアスモデウス。
(………なるほど、あんなもんまともに食らってたら真っ二つに焼き切られてたな……)
「………ふん、我が槍の秘密を見切るとは見事、私の槍は不死の怪物を焼き続け殺し続ける為に作られた槍、貴様ごときがこの槍の裁きを受けること光栄に思うがいい!」
胸を張りながらそんなことを大声で喚き立てるメロペー。
メロペーに反応を返す余裕のないアスモデウス。
(………まずいな、これじゃあ接近戦はできない………でも、俺殴るくらいしかできないし……魔法も使えるけど、こいつに通用するかどうか……)
一瞬、思考の海に溺れるアスモデウス、しかし、それは戦闘中の隙としては充分。
「ふん、上の空とは余裕だな悪魔!!」
さっきの意趣返しとばかりに皮肉を吐きながら、突進してくるメロペー。
意識をメロペーに戻すも時すでに遅い、さっきの手はもう使えない、きっと相手も対応してくる、自身の死をにわかに感じ始めるアスモデウス。
そんな彼の脳内にラビの声が響き渡る。
『女性との契約により結婚証明武具の使用が許可されています、使用しますか?』
(なんだかわからないが使わさせて貰う!!)
『では私と同じ言葉を詠唱してください』
(わかった!!)
メロペーが接近してくるのを真正面から眼で貫きつつ、ラビと同じ言葉を紡いでいく。
「第一指輪武器化開始、魔結晶化準備完了、結婚証明武具顕現!!!」
彼の言葉をただの死ぬ前の戯言と受け取りそのまま槍を振り下ろすメロペー。
防御不能の槍に対して避けようともしないアスモデウスに悲鳴の声を上げるエマ。
「あ、アスモ!!?ダメ、にげてぇ!!!」
無情にもそのまま彼が両断される、そんな残酷な光景を幻視した彼女、しかし、彼女の予想をいい意味で裏切るアスモデウス。
彼の手が白い輝きに包まれ、腕に光の帯をまといながら槍に突き出す。
甲高い音が響き渡り、静止するメロペーとアスモデウス。
眩い光はだんだん収まっていき、一つの武器に形取られていく、刀身が紅黒く片刃の刃をもつ長剣、光の帯の代わりに火花を纏っている。
槍の穂先を手に持つ紅黒い長剣で受け止めて、そのまま鍔迫り合ってると不意にアスモデウスは呟く。
「……………淫罪・情欲炎剣…」
彼の呟きに応じるように手に持つ魔剣は炎の産声をあげる。
厨二詠唱大好きです(笑顔