第1話 幕開けてほしくなかった…
季節は梅雨前。見事に高校最初の中間テストで失敗して負った心の深い傷も癒えてきた、というか既に完全に開き直っていた僕は清々しい朝を迎えた。
いつものように遅刻するかしないかという瀬戸際の時間に家を出て、全力で学校に向かう。
先に言っておくと僕の通っている学校が遅刻に甘いわけではない。むしろ厳しいくらいだ。
だからこそ僕は走らなくてはならないのだ。全力で。 まぁ、どう考えても悪いのは遅刻するギリギリに家を出る僕なんだが。
そんな絶賛全力登校中の僕の頭に「ナニカ」がクリーンヒットした。その「ナニカ」の正体とは…
ー Stool of bird. 和訳すると 「鳥の糞」。この場合はハトの糞である。
「カッコつけんな、気持ち悪りぃ。」
どこからかそんな声が聞こえた気がした。えっ、今の声に出てた?凄く恥ずかしい。
あぁもう全部悪いのはあの忌々しい悪魔だ。毎朝のように僕の頭に落としやがって。もしかしてあれか?最近、動画投稿サイトで流行っている"morning routine"みたいな感覚なのか?なんとも許しがたい事態だ。うんちはトイレでしましょうって小さい頃習っただろ!全く誰だよ、悪魔を平和の象徴とか言った奴は。 出てこい!僕がアイツの恐ろしさを叩き込んでやる!
何がともあれ今日もいつも通りの一日が始まりそうだー
ん?待てよ。 ―こんなのが日常だなんて絶対に僕は認めないからな!!
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「おはよう、我が後輩よ。」
校門をくぐるや否や、暑苦しい声が響く。
「……」
「無視はないだろうさ、我が後輩、木更よ。それに何だお前は。髪を白にでも染めたのか?うちの学校は髪の毛を染めるのは禁止なんだぞ。」
突如登場した自分の苗字に思わず体が跳ねる。どうやらあの暑苦しい声の矛先は僕らしい。
「…ぇと、どなたですか?あとこの髪は染めたんじゃなくて鳥の糞がついてるだけです。」
「あぁそれはすまなかったな。俺の名前は岩鶴だ。よろしくな。」
暑苦しい声の主らしき大男はそう言った。僕を後輩呼びしたということはきっと先輩なのだろう。
ーん? 僕はここでふと、ある違和感を感じた。とりあえず一旦状況を整理しよう。
先輩は今名乗った。つまり僕と先輩は初対面で、先輩は初対面の人に対してあのノリで話しかけてきた。もう一度言おう。初対面で、だ。
「あの、先輩。一応確認なんですけど、僕たちって今が初対面ですよね?」
「何馬鹿なこと言ってんだ?そうに決まってるだろ。それにそんな細かいことどうでもいいんだ。」
「えぇ…」
いやいや、全然細かくないから。先輩の「細かい」のレンジ広すぎるだろ。あぁ、これはあれだ。この先輩は関わっちゃいけないタイプの人だ。僕の全身の細胞もそう訴えている。
「木更は…、確か1-9だったよな?クラス。」
「はい。そうですけど、何で知ってるんですか?」
「だからぁ、そんな細かいこと気にすんなって。放課後になったらお前の教室に行くからな。それじゃあな。我が後輩よ、また放課後!」
だから、全然細かくないって。 やっぱりダメだ、この先輩。
「ちょ、待って下さい先輩!」
僕の叫びも虚しく、先輩は行ってしまった。
「キーンコーンカンコーン」
追い討ちをかけるように8時30分を知らせるチャイムも無情に鳴り響く。
テッテレー ♪
[木更は面倒くさい先輩との出会いの代償として遅刻
を手に入れた!▼]
【Congratulation!!】
脳内にRPGゲームの様な文字が表示される。なぁにが、【Congratulation!!】だ。全然釣り合ってないからぁぁ!
あぁ、これが高いお金で偽物のブランド品を買わされた人の気持ちか。これはこれは酷い気分だ。
全身を絶望感に包み込んで、頭を抱えていると。
「何してんだ!早くしろ!」
生徒指導の先生の怒号が飛んでくる。
「やべっ急がないと。」
僕は再び走り出した。
あとがきって何書いたらいいか難しいですよね。恐らくこの話はダラダラと続くので気楽に眺めるように読んでいただけると嬉しいです。まだまだ下手くそなのでご意見どんどん書いてくたさいね。ではまた2話で。