5.やっとヒロイン登場の目途が立った
一週間ぶり、こんにちごめんなさい
決してさぼってたわけじゃないんです
ちょっと課題(まりあ†ほりっく)に忙しかった
あと、これは全く関係ない話ですけど沢城みゆきさんって
ほんとすげぇな
特務課。
名目上、他部署の範囲外、通常考えうる状況の規格外の人類外知的生命体に対して、速やかに対応する即応隊を担う部署だ。
「遅かったじゃない。男女二人で何処に寄り道して、何をナニしてきたのかしら?」
わざとらしい甘ったるい声が一つ離れた、いわゆる課長席から、こちらに投げられる。
「いきなりセクハラするとは、上司の風上にも置けませんね。白鷺部長」
「いいわぁ、いいわよぉ。その腐りきった視線、最高に滾ってしまうわぁ」
両手で体をつかみながらクネクネ気持ち悪く動いている。この人は白鷺ササノ。
特務課の課長。そして
「呼び出したかと思えば、幼馴染にセクハラする母親とかいう事案見せられるって、息子としてどうすればいいんだ?通報してほしいならはっきり言えよ」
不幸なことに、俺、白鷺サキナの母親である。
よく手入れされた長く黒い髪や、整いすぎるほどに端正な顔。大人っぽい落ち着いた雰囲気と、程よくつけられた香水の匂いなど、見た目は見た目だけは、そこらの女優なんかより売れそうだが、なにぶん見ためだけだ。
「なぁ、母さん、セクハラもほどほどにして、そろそろ本題を教えてくれないか。部長を手籠めにするのが目的なら、俺はすぐに立ち去るからさ」
「あら、手籠めにするなんて人聞きの悪い。ちょっとばかり上司の接待に付き合ってもらってるだけじゃない」
「そういうのを、セクハラ上司って言うのですよ、課長。ほんといい加減にしてくれないと出るとこ出ますからね」
「出るはずの所が出てない君に言われても何の脅しにもならないわね。72ちゃん?」
「なぜそれを——!!」
「初歩的な推理だよ、72ちゃん」
ペラっと、セクハラ親父が引き出しから、取り出したのは一枚の紙。
学校の身体測定の紙だった。
そこには、72、59、76と部長の物であろうスリーサイズが赤で丸されていた。
「そうですか、そうなんですか、そういうつもりなんですか。わかりました、貴方が、そう望むのなら叶えましょう」
トアは何処から、取り出したのか手にメリケンを装備し、固く拳を握りしめていた。
視線で人が殺せそうなまでに強い怨念と羞恥と殺意を携えた目は、そらされることなくサキナの母、ササノに向けられていた。
「ト、トア君?ほんの冗談よ?ほら、君はまだ10代でしょう。気にすることなわよ。これから成長するさ。な、そうでしょ、サキナ」
返事がない。
「サキナ!後で覚えてなさいよ!晩御飯抜きにするからね!」
虚空を切る、叫び声など意に介さずトアはじりじりとササノを壁際に追い詰める。
迫りくる圧倒的、殺意と後ろの壁に挟まれササノは心の中でサキナを罵りながら、目の前の殺意をなんとか落ち着かせ様と試みる。
「まって、まってたら。誤ります!なんなら、豊胸手術もさせ」
余計な一言で、彼女の頬に暴力が突き刺さり、視界は上下がひっくり返る。そして、床にキスしたと同時に、意識が暗転する。
「あふぅん♡」
*
「で、本題は?」
ササノに意識が戻るまで、たっぷり三十分たった。
正直なところ、仕事をほっぽり出して帰ってやろうかと思ったが、学校をさぼっている以上公欠にするための仕事は受けないと、そろそろ単位がまずい。
「いつも通りよ。貴方には、いつも通り保護観察の名目で預かっている子の面倒を見てほしいの」
先ほどまでの、セクハラ上司の面影は一切なく。
グループの長としての表情で仕事内容を話し始める。
「今回は、少々厄介なのよ。いつも通りの子守とはいえ。対象の種族が種族だから」
「厄介なのこそ、いつも通りだろう。勿体つけずに、対象の詳細を教えてくれ」
「この子よ」
そう言って、机の上にあった大きめの茶封筒から数枚の部外秘と印鑑の押された資料を差し出してきた。その先頭には、こう書いてあった。
フェイレス・リース 12歳 女性
種族:吸血鬼
次回やっと出ますよ
われらがヒロイン、銀髪紅眼吸血鬼幼女!!
最高だね!!
眼鏡っ子にしようか悩むくらい最高だね